第2節 気候変動に伴い予想される災害の激甚化
2-1 気候変動に関する指標の動向
(1)世界的な地球温暖化
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書(AR5)によれば、将来、温室効果ガスの排出量がどのようなシナリオにおいても、21世紀末に向けて、世界の平均気温は上昇し、気候変動の影響のリスクが高くなると予測されている。
過去に観測された指標のトレンドからは、気候システムの温暖化には疑う余地がない。たとえば、1850年以降の世界平均の地上気温や、1900年以降の海面水位については、いずれも顕著な上昇を示している。特に、1950年代以降に観測された変化の多くは、数十年から数千年間にわたってきわめて大きなものである。
同様に、他の指標を見てみると、北半球の春の雪氷面積は減少し、北極域の夏の海氷面積も減少していることが見て取れる。
今後の気候モデルの予測には幅があるものの、気温上昇や海面上昇が続くことが予測されている。
(2)我が国における気候変動の観測結果
<1> 年平均気温
気象庁の解析による日本における経年変化は以下のとおりである。
1898~2014年において、100年あたり1.14℃上昇している
- 日最高気温が35℃以上(猛暑日)の日数は、1931~2014年において増加傾向が明瞭に現れている
<2> 降水量
同様に、降水量は以下のとおりである。
- 日降水量100mm以上、200mm以上の日数は1901~2014年において増加している
- 一方で、日降水量1.0mm以上の日数は減少している
(3)我が国における気候変動の将来予測
<1> 年平均気温
現在気候(1984~2004年平均)と比較した全国の年平均気温の将来気候(2080~2100年平均)は、以下のとおり予測されている。
- 現状以上の温暖化対策をとらなかった場合は4.4(3.4~5.4)℃上昇
- 厳しい温暖化対策をとった場合は1.1(0.5~1.7)℃上昇
<2> 降水量
地域気候モデルの予測結果によると、今後も比較的高水準の温室効果ガスの排出が続いた場合、短時間強雨の頻度がすべての地域で増加する一方で、無降水日数(日降水量1.0mm未満の日数)の頻度も多くの地域で増加すると予測されている。