4-2 地域における防災力の強化について
大規模広域災害時において「公助の限界」は明らかであり、自助、共助による取組が重要なことから、地域住民による自発的な防災活動を支えるため地区防災計画制度を設けている。
内閣府では、平成26年度から地区防災計画制度の普及と、計画策定を支援するため、モデル地区事業を実施している。
また、これらの取組成果を公表し、今後計画策定を行う地域の参考としている。
〈平成26年度のモデル地区事業の主な取組事例〉
「県境を越えた避難計画」に取り組む石川県加賀市三木地区
当該地区は、福井県あわら市吉崎地区と市街地が連続しており、津波が発生した際は、地続きに避難ができるあわら市内の小学校に避難場所を設定している。石川・福井両県では、津波の想定などが異なるものの、両地区では、避難には両地区が協力して避難計画を策定する必要があることから、計画策定に向けて、県境を越えた避難計画や住民によるハザードマップ作りに取り組んでいる。
「自主開設避難所」を中心とした防災活動に取り組む静岡県富士市駅南地区
当該地区は、避難所の自主開設に取り組んできた。この取組は、まちづくり協議会の中に防災部会を設け、自主防災会の負担を軽減するため、自主防災会の各区長以外の住民が中心となって活動を行っている。これまでも、避難所運営の役員は、避難者から選出するなどの仕組みを作るとともに、開設訓練を地元小学校と連携して行うなどに取り組んできた。今回、計画策定に向けて、避難所開設の取組の強化、平常時の減災対策や災害時の応急対応、活動を継承していくための組織作り、自主防災会とのつながり強化などに取り組んでいる。
平成26年11月22日に発生した長野県北部地震では、長野県内は全壊家屋50棟、半壊家屋91棟の被害があったが、地域住民の助け合いによる救助活動により、倒壊家屋の下敷きとなった方がいたものの犠牲者を出すことはなかった。
特に被害の多かった白馬村神城堀之内地区では、警察や消防による活動を待たずに地域住民と消防団などが協力しあい、住民が日常使用する薪割り用チェーンソーやタイヤ交換時に使う大型ジャッキなどを用いるなどして、倒壊家屋の下敷きとなった方の救助活動を行ったほか、地区の避難施設が使用できないため、役場と連携して他の避難施設を速やかに確保するなどの高齢者の避難支援を行った。これは、
<1>日頃から役場を含めた地域の方とのコミュニケーションを図るとともに、地域内の行事などを通じて協力しあう関係があること。
<2>消防団などの活動や地域での取り組みの中で日頃から防災に対する意識を持っていること。
<3>地域のリーダー一人だけでなく、それを支える方々が責任を持ち協力しあう関係を築いていること。
など日頃の地道な活動によって、いざというときに共助による助け合いの気持ちによる救助・避難活動が行われたものである。
また、白馬村を含めた長野県では、高齢者など避難することが困難な要配慮者の方の避難支援をするため、地域住民が助け合う「災害時住民支え合いマップ」作りが奨められている(図表1-1-17)。