2-4 帰宅困難者等対策
平成23年3月に発生した東日本大震災時においては、首都圏で約515万人の帰宅困難者が発生し、今後の首都直下地震の発生に備え、帰宅困難者等対策をより一層強化する必要性が顕在化した。
帰宅困難者等対策は、一斉帰宅の抑制、一時滞在施設の確保、帰宅困難者等への情報提供、駅周辺等における混乱防止、徒歩帰宅者への支援、帰宅困難者の搬送等多岐にわたり、特に帰宅困難者等への対応は、首都直下地震による多数の死傷者・避難者が想定される中にあって、行政機関による「公助」だけでは限界があることから、可能な限り「自助」を前提としつつ「共助」も含めた総合的な対応が不可欠である。
このため、平成23年9月に帰宅困難者等対策を強化することを目的として「首都直下地震帰宅困難者等対策協議会」を設置し、平成24年9月には最終報告がとりまとめられた。また、この報告を踏まえて、平成25年1月からは「首都直下地震帰宅困難者等対策連絡調整会議」を設置し、一時滞在施設の確保など実務的な検討を継続的に行い、「一時滞在施設の確保及び運営のガイドライン」を平成27年2月に改定した(図表1-1-14)。
本改定では、一時滞在施設は「共助」の観点から開設・運営することが基本であり、特に民間事業者等の協力が必要であることなどの基本的な考え方をあらためて示すとともに、一時滞在施設の管理・運営に関する責任の範囲と対応の考え方等について整理した。
これに基づき、各施設管理者は、一時滞在施設への帰宅困難者の受入に関する協定の締結、建物の安全点検、帰宅困難者に対する受入条件の掲示と署名などを行うことで、一時滞在施設を円滑に開設し運営することができる。
また、「首都直下地震帰宅困難者等対策協議会」の最終報告を基に、特に重要と考えられるものをとりまとめ、膨大な数の帰宅困難者の発生が想定される大都市圏において、官民が連携して帰宅困難者対策の検討を行う際の参考となるよう、平成27年3月に「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン」を策定した(図表1-1-13)。
本ガイドラインを参考に、国、地方公共団体、民間企業等、更には国民一人ひとりが積極的に帰宅困難者等の対策に取り組むことにより、社会全体における対策の底上げがなされることが期待されている。