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平成27年版 防災白書|第1部 第1章 第2節 2-3 放置車両・立ち往生車両対策


2-3 放置車両・立ち往生車両対策

平成26年2月の大雪では、多数の立ち往生車両が生じ、それらの車両が支障となって除雪作業が停滞、数日に渡って交通が遮断された。また、平成25年12月には中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループがとりまとめた「首都直下地震の被害想定と対策について」において、道路そのものの被災、放置車両の発生、鉄道の運行停止による道路交通への負荷の増大などが相まって、深刻な交通渋滞等の著しい交通の支障が発生する可能性が示された。

これらを踏まえ、災害時により迅速な対応を行うため、災害時の放置車両・立ち往生車両対策を強化する「災害対策基本法の一部を改正する法律(平成26年法律第114号。以下「改正法」という。)」が平成26年11月14日に全会一致をもって可決・成立、同21日に公布・施行された。概要は以下の通りである。

(1)改正法の概要

<1> 災害時における車両の移動等

  • 道路管理者は、災害が発生し、緊急通行車両の通行を確保するため必要な場合には、その管理する道路の区間を指定して、緊急通行車両の通行の妨害となっている車両や車両から落下した積載物等の物件(以下「車両等」という。)の所有者等に対し、車両等の道路外への移動、車間を詰めて空いたスペースへの車両等の移動等の措置をとることを命ずることができること
  • 措置をとるよう命じられた所有者等が措置をとらない場合、所有者等が不在の場合などには、道路管理者は、自ら車両等の移動等の措置ができるとともに、当該措置をとるためやむを得ない限度において、車両等を破損することができること
  • 道路管理者は、措置をとるためやむを得ない限度において、他人の土地を一時使用し、障害物を処分することができること

<2> 国土交通大臣及び都道府県知事による指示

  • 被災現場までのルート全体を広域的に俯瞰して、ネットワークで緊急通行車両の通行を確保するため特に必要があるときは、国から都道府県及び市町村に、都道府県から市町村に対し、必要な措置をとるよう指示することができること

<3> 都道府県公安委員会の要請

  • 都道府県公安委員会は、通行禁止等を行うため必要があるときには、道路管理者に対し、道路の区間を指定して必要な措置をとるよう要請することができること

<4> 損失補償

  • 道路管理者、機構又は地方道路公社は、やむを得ない限度において車両等を損失した場合に、その所有者等へ補償しなければならないこと
(2)改正法の適用実績

平成26年12月5日から6日にかけて、北日本から西日本にかけて広範囲で雪が降り、日本海側や山沿いを中心に大雪となった。特に、普段雪の少ない四国の愛媛県と徳島県を結ぶ国道192号の県境付近において、大雪に伴う立ち往生車両が約130台発生し、改正法を初めて適用して立ち往生車両の移動措置を行った。また、広島県と島根県を結ぶ国道54号の県境付近でも、約60台の立ち往生車両が発生したことから、改正法に基づき車両の移動措置を行った(図表1-1-12)。

改正法では、「運転者への移動命令」「道路管理者自らによる移動」が可能となったことから、車両移動の時間短縮が図られ、除雪を効率的に実施することが可能となり、早期の通行止め解除につながった。従来は、運転者の同意を得て、車両の損傷に配慮しながら移動せざるを得ず、また、運転者が不在の放置車両は、運転者を捜し出し移動要請を行っていたが、改正法に基づき強制移動することにより、迅速な対応が可能となった。

なお、平成26年度末現在、改正災対法は高速道路や国道で48区間の適用実績がある。

図表1-1-12 国道192号における雪害対応図表1-1-12 国道192号における雪害対応
立ち往生車両の移動状況立ち往生車両の移動状況
放置車両の強制移動後の提示放置車両の強制移動後の提示

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内閣府政策統括官(防災担当)

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