平成27年版 防災白書|特集 第3章 第3節 3-2 APECにおける防災協力


3-2 APECにおける防災協力

アジア太平洋経済協力(APEC:Asia-Pacific Economic Cooperation)は、アジア太平洋地域の21の国と地域が参加する経済協力の枠組であり、経済規模で世界全体のGDPの約5割、世界全体の貿易量及び世界人口の約4割を占める。APECは、経済協力の枠組であると同時に、その域内は世界有数の災害発生地域でもあるため、自然災害は各国の持続的発展にとっての阻害要因であるとの認識に基づき、近年のAPECでは、防災分野は重要な分野の一つに位置づけられている。APEC内では、2004年12月に発生したインド洋地震・津波への対応として、2005年に設立されたタスクフォースを前身として、メンバーエコノミーにより緊急事態準備作業部会(EPWG:Emergency Preparedness Working Group)が組織され、APEC域内の防災能力の向上と域内連携の推進を目的とし、年1~2回程度開催されている。また、APEC首脳会議を始めとする各分野の閣僚級会議と同様に、毎年、域内での持ち回りにより、APEC防災担当高級実務者会合(SDMOF:Senior Disaster Management Officials Forum)が開催され、APEC域内での災害事例や防災対策に関する情報共有・意見交換を実施している。

平成26年8月には、中国・北京において、第8回APEC防災担当高級実務者会合が開催された。本会合においては、「防災分野における科学技術の強化」をテーマに、応急対応や復旧における効率性強化のための科学技術の活用等について議論が行われ、日本政府からは、東日本大震災からの復旧・復興における科学技術の活用や東北の復興状況、第3回国連防災世界会議開催の準備等について紹介した。

国境を越えた企業活動の事業継続体制の確保

2011年タイの洪水では、日系企業400社以上が浸水被害を受け、現地の生産委託先の工場や部品メーカーが生産活動を停止した。その結果、例えば、デジタルカメラの新製品の発売が約2か月半の延期を余儀なくされたり、現地の自動車生産工場が約半年間、生産休止に追い込まれるなど、経済面に大きな影響を与えた。また、日本で発生した東日本大震災が国内外の経済活動にサプライチェーンを通じて大きな影響を与えたことから、海外に拠点を構える日本企業のみならず、外国の企業・政府機関にも、自然災害が多く発生する日本における事業継続への取組手法に関心が高まっている。

内閣府は、2013年8月に事業継続ガイドライン第三版を公表したが、海外に対して我が国の事業継続に係る知見の積極的発信が不可欠と考え、2014年6月に同ガイドラインの英訳版を作成した。その他、2013年にアジア防災センターが東日本大震災の経験を踏まえ、アジア諸国の中小企業向きのBCPガイドブックを作成、共有している。


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