平成27年版 防災白書|特集 第2章 第2節 2-4 関連事業について


2-4 関連事業について

第3回国連防災世界会議の一環として、政府機関、地方自治体、NPO、NGO、大学、地域団体など、国内外の多様な主体による防災や減災、復興に関する取組等を広く発信する関連事業が、本体会議場の周辺会場等において開催された。

東北大学において、東日本大震災の経験や教訓を生かしたより良い復興や、新たな防災のあり方を展望する「東日本大震災総合フォーラム」が行われたのをはじめとし、約400のシンポジウムやセミナーが仙台市内や被災隣接県会場で行われた。また、防災や復興の取組を世界に向けて発信する大型展示である「東北防災・復興パビリオン」や、「世界の防災展」などの屋内・屋外展示が、せんだいメディアテーク等において実施された。また、災害時だけでなく、平時の快適性・経済性・環境性等にも貢献する、我が国の防災関連技術・製品を展示する「防災産業展」が夢メッセみやぎにおいて開催された。さらに、「市民協同と防災」と「女性と防災」をテーマとした、2つのテーマ館が設けられ、それぞれのテーマに基づき、シンポジウムやワークショップ、展示等が行われ、国内外の団体間の情報交換、交流の機会となった。

世界各国からの本体会議参加者に向けて、東日本大震災からの復興の現状や、より良い復興に向けた取組を発信するために、25コース42本のスタディツアーが開催されたほか、会議終了後には、東北各県の文化や食を体験するツアーであるエクスカーションが5コース実施された。

(1)東日本大震災総合フォーラム等シンポジウム・セミナー

日本政府及び第3回国連防災世界会議仙台開催実行委員会は、パブリック・フォーラムの中核事業として、より良い復興、新たな防災のあり方を展望する東日本大震災総合フォーラムを開催し、日本政府・実行委員会等の主催により、我が国の防災の展望や国土強靱化等の10テーマで実施された。

内閣府は、3月14日に「我が国防災の展望:究極の防災対策を目指して~兵庫から仙台、そして未来へ~」をテーマに、フォーラムを開催し、阪神・淡路大震災や東日本大震災等の幾多の災害を契機に強化を図ってきた災害対策の取組を踏まえ、新たな防災枠組に向けた取組等について議論が行われた。

フォーラムでは、松本内閣府大臣政務官が開会の挨拶を述べたほか、東日本大震災からの復興状況や、震災をきっかけとした災害対策の取組等について、東北4県の知事・副知事から発表があり、また、企業、地方自治体、専門家、国際機関の代表者によるパネルディスカッションが行われた。

その他、仙台市内や青森県、岩手県、宮城県、福島県の会場において、関係省庁をはじめ、国内外の様々な団体により、東日本大震災から得られた教訓や復旧・復興に向けた取組、世界各国の防災に関する取組等に関し、約400にのぼる大小さまざまなシンポジウムやセミナーが開催された。

図表14 総合フォーラム一覧図表14 総合フォーラム一覧
総合フォーラム会場の様子(1)総合フォーラム会場の様子(1)
総合フォーラム会場の様子(2)総合フォーラム会場の様子(2)
総合フォーラムにおいて挨拶を行う松本内閣府政務官総合フォーラムにおいて挨拶を行う松本内閣府政務官
パネルディスカッションの様子パネルディスカッションの様子
(2)東北防災・復興パビリオン、世界の防災展

せんだいメディアテーク1階では、青森、岩手、宮城、福島の被災4県及び仙台市が「東北防災・復興パビリオン」として、防災、復旧・復興に関する展示を行い、東日本大震災の経験や教訓を世界へ発信するとともに、東北・仙台の未来を広くアピールした。

また、せんだいメディアテークや市民会館、仙台市情報・産業プラザ(AER内)等では、約200以上の国内外の団体が、「世界の防災展」として、ブース展示やポスター展示を行い、防災活動や復興の取組を紹介し、延べ約4万人以上の来場があった。

さらに、勾当台公園では屋外展示として「防災のひろば」が開催され、消防訓練や車両展示、音楽ステージ、ブース展示や体験コーナー等、家族で楽しみながら、防災・減災について体験ができる機会となり、延べ約5万人の来場があった。

せんだいメディアテークにおける「東北防災・復興パビリオン」の様子(1)せんだいメディアテークにおける「東北防災・復興パビリオン」の様子(1)
せんだいメディアテークにおける「東北防災・復興パビリオン」の様子(2)せんだいメディアテークにおける「東北防災・復興パビリオン」の様子(2)
世界の防災展の様子(仙台市民会館)世界の防災展の様子(仙台市民会館)
世界の防災展の様子(せんだいメディアテーク5階)世界の防災展の様子(せんだいメディアテーク5階)
屋外展示の様子(1)屋外展示の様子(1)
屋外展示の様子(2)屋外展示の様子(2)
展示の様子(仙台市情報・産業プラザ(AER内))展示の様子(仙台市情報・産業プラザ(AER内))
(3)防災産業展in仙台

内閣府、宮城県及び日刊工業新聞社は、3月15日~17日に防災産業展in仙台」を夢メッセみやぎにて開催した。本展示会には、わが国最先端の防災技術・製品が、一堂に会し、「伝えよう、未来に教訓と備えを」をテーマに、建設・機械・エネルギー・IT・通信・食品・物流など幅広い分野から、160社・団体が出展し、延べ約6千人が来場した。

また、3月16日には「防災産業シンポジウム」が開催された。「防災産業の発展と防災力向上に向けて」をテーマに、行政との連携も含め、企業に求められる役割について、基調講演、パネルディスカッションが行われた。第1部では、防災産業展出展企業から非常時だけでなく平時も有用な技術や各社の取組の紹介があり、第2部では、防災産業の発展と防災力向上に向けて、我が国が取り組むべき課題等について基調講演及びパネルディスカッションが行われた。

防災産業展の様子防災産業展の様子
(4)スタディツアー

会議開催期間中、本体会議参加者に、半日~1日の日程で、津波被災地や福島第一原子力発電所、仮設住宅等の被災地を視察してもらい、東日本大震災の経験や教訓、復興の現状等を発信することを目的に、スタディツアーが実施された。計画された25コース42本のツアーは全て催行され、延べ635人が参加し、東北における「より良い復興」の現場や防災、防災教育、復興の取組への多様な主体の参画を、自らの目で見て体感する機会となった。

図表15 実施されたスタディツアー一覧(1)図表15 実施されたスタディツアー一覧(1)
図表15 実施されたスタディツアー一覧(2)図表15 実施されたスタディツアー一覧(2)
津波への備え・多重防御見学コースの様子津波への備え・多重防御見学コースの様子
津波被災した荒浜小にて元校長の話を聞く参加者津波被災した荒浜小にて元校長の話を聞く参加者
仙台市立青陵中等教育学校を訪れるツアー仙台市立青陵中等教育学校を訪れるツアー
津波被災地名取市閖上にて語り部の体験談を聞く参加者津波被災地名取市閖上にて語り部の体験談を聞く参加者
復興ふくしま ~食の安全安心~ツアーの様子(1)復興ふくしま ~食の安全安心~ツアーの様子(1)
復興ふくしま ~食の安全安心~ツアーの様子(2)復興ふくしま ~食の安全安心~ツアーの様子(2)
(5)エクスカーション

会議終了後、本体会議参加者及びその配偶者に、東北地方の豊かな自然や文化等を体験してもらうエクスカーションが、3月18日~20日に東北4県で5コース実施された。本エクスカーションには、各国から38名が参加し、伝統工芸品の絵付けや茶道、最上川舟下りなどを体験するとともに、平泉の世界遺産などの歴史的建造物を見学し、東北の文化や歴史、自然に触れてもらう良い機会となった。また、南三陸町防災庁舎跡などの被災地視察をはじめ、震災から復興した酒造を見学し、作り手による復興への取組等に関する説明を受けたり、復興した魚市場で水揚げの様子を見学したりした。

図表16 実施されたエクスカーション一覧図表16 実施されたエクスカーション一覧
茶道体験をする参加者の様子茶道体験をする参加者の様子
コラム:パブリックフォーラム

第3回国連防災世界会議期間中には、仙台市内のみならず、青森県、岩手県、宮城県、福島県の会場においても、防災・減災、復興に関する様々な取組をテーマにシンポジウムが開催された。例えば、岩手県では、「文化財と防災」をテーマにシンポジウムが開かれ、各国の代表者や県内外の有識者など約160名が集まった。シンポジウム後には、世界文化遺産である平泉「中尊寺」の視察が行われ、平泉町立長島小学校消防クラブによる歓迎演奏が行われたほか、中尊寺における防災の取組に関する説明や放水実演などが行われた。

中尊寺における放水実演中尊寺における放水実演
コラム:ボランティア団体による連携の動き

東日本大震災の際、多くのボランティアが被災地に駆け付けたものの、支援団体間の連携不足や行政と支援団体との連携不足など災害対応に関する課題が浮き彫りになった。

このような課題に対処し、今後の国内災害において効果的な災害対応が行われるよう、現在、「震災がつなぐ全国ネットワーク」や「ジャパン・プラットフォーム」など国内の幾つかの支援団体を中心として、大災害発生時の連絡・調整窓口となる新しい組織づくりについて検討する動きが進められている。

国連防災世界会議期間中の3月15日には、仙台市にて、災害支援に関わるNPOやNGO、支援団体、社会福祉協議会、行政機関の職員などを対象に「災害時における支援調整の仕組みを考える~新たな官民連携・コーディネーション機能構築に向けて」と題するパブリック・フォーラムが開催された。

パブリック・フォーラムでは、米国の全米災害救援ボランティア機構(NVOAD:National Voluntary Organizations Active in Disaster)から海外での支援調整の事例の発表が行われたほか、研究者、支援団体代表、経済界代表などにより、国内における連携調整の仕組みづくりに関するパネルディスカッションが行われるなど活発な議論が行われた。

今後も、引き続き、支援団体間のネットワークの強化、行政との関係構築など様々な点について議論が重ねられる予定である。


所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.