平成27年版 防災白書|特集 第1章 第1節 1-1 「国際防災の10年」の設立


第1節 「国際防災の10年」と第1回国連防災世界会議について

1-1 「国際防災の10年」の設立

世界各地で発生する自然災害に関しては、バングラデシュでサイクロン被害により約30万人もの犠牲者が発生した年の翌年1971年に、災害救援活動の効率化のための調整等を任務とする国連災害救援調整官事務所(UNDRO:United Nations Disaster Relief Organization)が設立されるなど、緊急援助の分野では国際的なメカニズムが設けられてきた。

その後、過去20年に自然災害により世界全体で300万人もの命が奪われ、230億ドル以上の直接的な被害が発生し、またアフリカで2千万人以上もの人々が干ばつにより命を脅かされている状況を踏まえ、国連は、1987年の第42回国連総会において、1990年代を「国際防災の10年」(IDNDR:International Decade for Natural Disaster Reduction)とすると決議した。

「国際防災の10年」の目的は、災害が発生する前に、災害被害を軽減するための取組を行うために国際社会の知見を結集させることである。すなわち、災害発生後の応急対応・復旧を中心とした取組から、災害発生前の事前の取組へと国際社会の関心をシフトさせ、特に開発途上国における自然災害による被害を軽減することである。

戦後の大規模な災害を経験して、防災体制を確立し、自然災害被害の軽減に取り組んできた我が国は、1980年代に干ばつや砂漠化によって大きな被害を受けていたアフリカ地域を代表するモロッコとともに、本決議の共同提案国となるなど、「国際防災の10年」の設立と推進に主導的な役割を果たした。

「国際防災の10年」の活動方針については、1989年の国連総会決議によって定められ、これに基づき、国際防災の日の決定(毎年10月の第2水曜日。後に毎年10月13日となる)、世界各国における災害予防施策の実施とそのための国際協力の推進、国連事務局の設置(ジュネーブ)等が行われた。日本国内でも、1989年に内閣総理大臣を本部長とする国際防災10年推進本部を設置し、同活動の推進体制を整えた。

図表1 1970年以降の世界における自然災害による人的被害の推移図表1 1970年以降の世界における自然災害による人的被害の推移

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