平成26年版 防災白書|第2部 第5章 4 4-8 東日本大震災に関する復興対策


4-8 東日本大震災に関する復興対策

(1)復興庁における対応

復興庁が、復興に関する行政各部の事業を統括・監理する一環として、公共事業、原子力災害復興関係、災害廃棄物処理事業、災害関連融資等の東日本大震災からの復興に関する事業に係る経費を一括して計上した。

復興庁においては、東日本大震災からの復興対策に係る経費のうち、復興庁の運営等に係る経費等を執行し、東日本大震災からの復興を円滑かつ迅速に推進した。

(平成24年度決算額 57,069百万円)

(2)内閣府における対応

内閣府においては、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県及び千葉県が全域に、埼玉県が2市に、東京都が板橋区に、新潟県が1市1町に、長野県が栄村に「被災者生活再建支援法」を適用した本災害において、要件に合致する被災世帯に支給された合計435億8,180万円の被災者生活再建支援金の5分の4の補助を行った。

(3)個人債務者の私的整理に係る支援

金融庁においては、東日本大震災の影響によって既往債務を弁済できなくなった被災者が「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」を利用して債務整理をする場合に必要となる弁護士費用の補助等、運用支援を行った。

(平成24年度決算額 633百万円)

(4)消防防災施設・設備の災害復旧

消防庁においては、地方公共団体が実施する、東日本大震災により被害を受けた消防防災施設・設備を原形に復旧する事業に対して補助を行った。

(平成24年度決算額 19,160百万円)

(5)法務省における対応

法務省においては、東日本大震災で被災した法務省施設について、復旧・耐震化を実施した。

(平成24年度決算額 88百万円)

(6)法務省における対応

法務省においては、日本司法支援センター(法テラス)で、通常の情報提供業務・民事法律扶助業務に加え、以下の取組を実施した。

  • 法テラスの常勤弁護士が、避難所に赴き、被災者に対する生活再建等に関する法制度等の情報提供。
  • 日本弁護士連合会等と共催で、被災者等に対する無料の電話相談。
  • 被災地の弁護士会等の関係団体と連携協力して、宮城県、岩手県、福島県の避難所等を中心に、弁護士による出張・巡回相談。
  • 被災者の抱える法的問題の解決について増加する専門家による支援の需要に対応するため、被災地の沿岸部に出張所を設置して弁護士による無料法律相談や各種専門家による無料よろず相談を実施するとともに、車内で相談対応可能な自動車を利用した仮設住宅での巡回相談等を実施。
  • 「震災 法テラスダイヤル(フリーダイヤル0120‐078309)」において、二重ローン問題や原発の損害賠償請求等の震災に起因するトラブルについて、その問題の解決や生活再建に役立つ法制度、相談窓口等についての情報提供を実施。
  • 「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律」に基づき、東日本大震災法律援助事業(東日本大震災に際し「災害救助法」が適用された市町村の区域(東京都を除く。)に平成23年3月11日において住所等を有していた者の東日本大震災に起因する紛争について、その者の資力の状況にかかわらず、訴訟代理、書類作成、法律相談等に係る援助を行う業務)を実施。

(平成24年度決算額 2,045百万円)

法務省においては、災害被災者の支援として、職員を派遣して被災者等への診療支援を実施した。

法務省においては、「法務局震災相談フリーダイヤル」の設置や避難所等において特設相談所を開設すること等により、被災者からの登記・戸籍等に関する相談を行った。

(平成24年度決算額 85百万円)

法務省においては、東日本大震災で被災した水戸地方法務局本局及び仙台法務局気仙沼支局について仮庁舎に移転し、事務処理を継続した。

(平成24年度決算額 61百万円)

法務省においては、東日本大震災の被災地域における保護観察処遇等の体制の再構築を図るため、更生保護拠点を運営するとともに、更生保護被災地域就労支援対策強化事業を行った。

(平成24年度決算額 258百万円)

法務省においては、人権擁護機関(法務省人権擁護局、法務局・地方法務局及び人権擁護委員)にて、放射線被ばくについての風評等に基づく差別的取扱い等、震災に伴って生起する様々な人権問題に対し、人権相談を通じて対処するとともに、これらの人権問題をテーマとしたシンポジウムの開催、人権教室の実施等、人権問題の発生を防止するための啓発活動を実施した。

(平成24年度決算額 25百万円)

法務省においては、外国人の出入国管理業務として、以下の取組を実施した。

  • 「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」第3条第2項の規定に基づく法務省告示(平成23年3月16日法務省告示第123号)の対象となる外国人について、在留期間の満了日を、特段の手続を要することなく、一律に平成23年8月31日まで延長する措置を実施。
  • 上記告示に該当しない外国人でも、本震災により被害を受け、地方入国管理局長あて申出を行うことにより、同法第3条第3項に該当すると判断された外国人については、在留期間等の満了日を平成23年8月31日まで延長する措置を実施。
  • 海外からの緊急救助隊の上陸審査にあたり、入国審査官があらかじめ作成した仮上陸許可書を交付することで、旅券への上陸許可証印を省略する等、到着時の手続きを簡便・迅速な方法により実施。
  • 外国人又は代理人が被災のために遠隔地に一時避難している場合について、避難先の最寄りの地方入国管理官署において在留資格関係諸申請を受理。
  • 外国人の安否確認のため被災外国人の親族や在日外国公館等に対して各種情報を提供。
  • 被災市町村の外国人登録事務に係る業務処理を代行。
  • 成田空港(第1・第2ターミナル)に出入国関係の相談カウンターを設置し、一時帰国を希望する外国人の相談対応を実施。

法務省においては、心理的支援の体制を整備し、矯正施設に勤務する職員(心理技官)により、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えた被災者等の心理的支援を行った。

(平成24年度決算額 187百万円の内数)

(7)庁舎及び合同宿舎等

財務省においては、平成22年度災害(東日本大震災)により被害を受けた税関庁舎及び公務員宿舎(合同宿舎)の復旧事業を実施した。

(平成24年度決算額 188百万円)

(8)東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により汚染された牛肉・稲わらに係る肉用牛肥育農家支援対策等

農林水産省においては、平成23年に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により汚染された稲わらが原因で牛肉から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されたことについて、食の安全・安心を確保するとともに、肉用牛肥育農家等が安心して経営できる環境を整えるため、独立行政法人農畜産業振興機構を通じ、肉用牛肥育農家支援対策等に補助を実施した。

(9)農林水産省における対応

被災した水産動植物の養殖施設の整備、被災海域における種苗放流数の確保について支援を実施した。

(平成24年度決算額 575百万円)

被害を受けた農林水産業者等に対して、速やかな復旧・復興のために必要となる資金が円滑に融通されるよう利子助成金等を交付した。

(平成24年度決算額 12,861百万円)

(10)原子力被災者健康確保・管理関連

経済産業省においては、福島県民の健康調査を実施すべく、全県民を対象として放射線量の推定調査等を実施するとともに、子ども等に対する放射線影響の防止策として、子どもの心身の健康確保事業等を実施した。

(11)工業用水道施設の災害復旧

経済産業省においては、東日本大震災により被害を受けた工業用水道施設の速やかな復旧を図るため、工業用水道施設災害復旧事業費補助(東日本大震災災害復旧事業)を実施した。

(平成24年度決算額 2,533百万円)

(12)被災した観測ネットワークの復旧等

国土地理院では復旧・復興計画策定等のために共通に使用する空中写真及び地図として、東北太平洋沿岸地域を対象に災害復興計画基図を整備し、国、地方公共団体等の関係機関へ提供を行った。

(平成24年度決算額 209百万円)

(13)国土交通省における対応
  • 津波による著しい被害を受けた被災地域における復興まちづくり計画の策定や公共施設、修景施設等の整備を支援する都市防災総合推進事業の実施

    (平成24年度決算額 東日本大震災復興交付金の内数)

  • 東日本大震災により滑動崩落等の被害を受けた造成宅地において再度災害を防止するため、滑動崩落防止工事及びその設計を支援する造成宅地滑動崩落緊急対策事業の実施

    (平成24年度決算額 東日本大震災復興交付金の内数)

  • 東日本大震災により被災した地域において住民の居住に適当でない区域内にある住居の集団的移転を促進する防災集団移転促進事業を実施

    (平成24年度決算額 東日本大震災復興交付金の内数)

  • 液状化被害を受けた市街地の再液状化を防止する市街地液状化対策事業の実施

    (平成24年度決算額 東日本大震災復興交付金の内数)

  • 既成市街地における公共施設と隣接宅地等との一体的な液状化対策の推進を図るため、効率的かつ効果的な工法等の調査の実施

    (平成24年度決算額 100百万円)

  • 津波被害を受けた市街地の復興の一環として、浸水区域内における津波被害を直接的に軽減する津波防災緑地や避難地としての機能を有する都市公園等の整備

    (平成24年度決算額 東日本大震災復興交付金の内数)

  • 津波により壊滅的な被害を受けた地域における復興計画等に位置付けられた高台移転等に伴う道路整備(土地区画整理事業)の実施

    (平成24年度決算額 東日本大震災復興交付金の内数)

  • 広範かつ甚大な被災を受けた市街地の復興に対応するため、都市再生区画整理事業(被災市街地 復興土地区画整理事業等)による緊急かつ健全な市街地の復興の推進

    (平成24年度決算額 東日本大震災復興交付金の内数)

  • 復興の拠点となる市街地(一団地の津波防災拠点市街地形成施設)を用地買収方式で緊急に整備する事業の推進

    (平成24年度決算額 東日本大震災復興交付金の内数)

  • 東日本大震災による地盤の液状化により著しい被害を受けた地域において、再度災害の発生を抑制するため、道路・下水道等の公共施設と隣接宅地等との一体的な液状化対策(都市再生区画整理事業、都市防災推進事業)の推進

    (平成24年度決算額 東日本大震災復興交付金の内数)

(14)気象官署施設等における災害対応体制の強化等

気象庁においては、津波・地震観測ネットワークの増設と非常電源・バックアップ回線の強化を行うとともに、東日本大震災で被災した庁舎の復旧及び気象官署の非常電源設備の修復を行った。

(平成24年度決算額 5,915百万円)

(15)津波警報の改善

気象庁においては、巨大地震に対する津波警報の第一報での津波の高さに「巨大」などの定性的な表現を用いる等、東日本大震災の教訓を踏まえた新しい津波警報の運用を平成25年3月7日から開始した。

また、津波警報の発表をより確度の高いものとし、かつ、迅速確実に行うため、巨大地震でも測定可能な広帯域強震計を国内に整備(全国80箇所)し、ブイ式海底津波計を東北地方太平洋沖の3箇所に設置するとともに、衛星回線を利用した通信の二重化や非常用電源の長時間化など津波観測施設の強化を実施した。

(平成24年度決算額 2,290百万円)

(16)災害廃棄物の処理

環境省においては、地方公共団体が東日本大震災のために実施した廃棄物の収集、運搬及び処分に係る事業に対して補助を行った。

(平成24年度決算額 322,125百万円)

(17)廃棄物処理施設の災害復旧事業

環境省においては、地方公共団体が実施する、東日本大震災により被害を受けた廃棄物処理施設を原形に復旧する事業に対して補助を行った。

(平成24年度決算額 4,832百万円)

(18)各種通信システム等の整備

防衛省においては。東日本大震災時に、各部隊の通信システムが新旧異種であることにより、円滑な情報通信に制約が生じたことも踏まえ、各種事態への対応において、自衛隊部隊等が迅速かつ的確に情報の伝達・共有を行い得るよう、各種通信システム等を整備した。

(平成24年度決算額 44,289百万円)

(19)全国駐屯地・基地等の機能維持・強化

防衛省においては、大規模災害等の各種事態へ対応するに当たり、全国から部隊を集結させる際の活動拠点、活動に従事した隊員のケアや必要な物資等の集積・補給を行う拠点となる、全国の駐屯地・基地等の機能を維持・強化した。

(平成24年度決算額 1,277百万円)

(20)各種整備品、資機材の整備

防衛省においては、大規模災害等の各種事態発生時に、被災者の救出・救助や物資輸送、現地状況の偵察、生活支援等の活動を長期にわたり実施するために必要な各種装備品や資機材を整備した。

(平成24年度決算額 13,854百万円)


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