第3章 我が国の災害対策の取組の状況等
平成23年3月11日に発生した東日本大震災は,未曽有の大災害であり,深刻な被害をもたらした。それと同時に,我々に数多くの課題と教訓を残した。東日本大震災の教訓を踏まえ,中央防災会議や各府省庁において災害対策の見直しやその充実が図られてきている。南海トラフ巨大地震,首都直下地震等の大規模災害の発生が懸念されている中で,これらの災害に対する取組が進められている。本章では,東日本大震災の教訓を踏まえた災害対策の取組の状況について述べる。
1 東日本大震災の教訓を踏まえた主な取組
1-1 防災対策推進検討会議最終報告
政府では,平成23年10月,中央防災会議の専門調査会として「防災対策推進検討会議」を設置した。本会議は,関係閣僚と学識経験者で構成されており,閣僚を委員とする専門調査会はこれが最初である。同会議は,東日本大震災における政府の対応を検証し,大震災の教訓を総括するとともに,首都直下地震,南海トラフ巨大地震や火山災害等の大規模災害や頻発する豪雨災害に備え,災害対策の充実・強化を図ることを目的とし,平成24年3月に中間報告を,同年7月に最終報告を取りまとめた(図表1-3-1)。
最終報告は,第1章では,災害に強くしなやかな社会の構築のための災害対策に取り組む基本姿勢を,第2章では,それを前提とした防災政策の基本原則を提示した。そして第3章では,こうした基本姿勢や基本原則を踏まえ,今後重点的に取り組むべき事項を示しており,各分野にわたる提言事項を網羅している。さらに第4章では,今後の防災対策の充実に向けた指針を示した。政府としては,この最終報告を踏まえ,災害対策法制の見直しを始め,災害対策全般の更なる見直しに取り組むこととしている。
平成25年3月26日の中央防災会議において,防災対策推進検討会議の廃止及び同会議の後継組織として防災対策実行会議の設置が決定された。本会議は,防災対策推進検討会議最終報告の単なるフォローアップにとどまらず,最終報告等に基づく各省庁の諸施策の実行を後押しするとともに,防災対策に係る省庁横断的な課題を議論し,実行に結び付けることとしている。