5-2 福島の復興・再生に係る法制度
原子力発電所の事故の結果,放射性物質による環境の汚染に加えて,健康不安や風評被害による影響が,浜通りのみならず,中通り,会津地方を含む福島全域に広がっている。こうした広域かつ多岐にわたる原子力災害に対応するため,例えば次の法律が措置されている。
(1)東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律(平成23年法律第98号)
原子力発電所の事故による災害の影響により多数の住民がその属する市町村の区域外に避難し,又は住所を移転することを余儀なくされた事態に対処するため,市町村の区域外に避難している住民(避難住民)に対する適切な行政サービスの提供や,住所を移転した住民と元の地方公共団体との関係の維持という課題に対応する措置が講じられた。
(2)福島復興再生特別措置法(平成24年法律第25号)
福島全域にわたって,住民が,健康,仕事,暮らし等,あらゆる面で困難な状況に直面し,福島の地方公共団体自身も問題を抱えるといった特殊な諸事情に的確に対応するため,平成24年3月に公布・施行された。
また,同法に基づく基本的な方針である「福島復興再生基本方針」を平成24年7月に閣議決定した。
その後,長期避難者の生活拠点の形成や,公共インフラの復興・再生,課税の特例等による企業立地の更なる促進を内容とする改正法が平成25年5月10日に公布・施行された。
(3)東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律(子ども被災者支援法)(平成24年法律第48号)
放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないこと等により,被災者が健康上の不安を抱え,生活上の負担を強いられていることに鑑みて被災者の不安の解消・安定した生活の実現に寄与することを目的とし,議員立法により平成24年6月に成立した。国として,子どもに特に配慮して行う被災者の生活支援等に関する施策を総合的に策定し実施することとしている。