(1)災害対策の基本となる検討の推進・制度の充実


(1)災害対策の基本となる検討の推進・制度の充実

東日本大震災の教訓を踏まえ,各分野における災害対策の基本となる検討が中央防災会議の専門調査会で行われている。また,その検討結果を踏まえ,「災害対策基本法」の一部改正法案が国会に提出される等,政府において災害対策が進められている。

(「防災対策推進検討会議」における検討)

政府では,平成23年10月,中央防災会議の専門調査会として「防災対策推進検討会議」を設置した。本会議は,関係閣僚と学識経験者で構成されており,閣僚を委員とする専門調査会はこれが最初である。同会議は,東日本大震災における政府の対応を検証し,大震災の教訓を総括するとともに,首都直下地震,南海トラフの巨大地震や火山災害等の大規模災害や頻発する豪雨災害に備え,災害対策の充実・強化を図ることを目的としている。同会議では,大震災に関する他の中央防災会議の専門調査会や政府内に設けられた研究会等の検討成果の報告も踏まえ検討し,平成24年3月,中間報告を取りまとめた(図表1-2-2)。

図表1-2-2 防災対策推進検討会議 中間報告(平成24年3月) 図表1-2-2 防災対策推進検討会議 中間報告(平成24年3月)の図表

同会議では,今後,本年夏頃に取りまとめる予定の最終報告に向けて,中間報告に示した災害対策の対応の方向性を踏まえ,東日本大震災における災害対応について徹底的な検証を継続することとしている。

一方で,東日本大震災への対応の中で課題が明確になり,いつ起こるかわからない広域災害において必要となると考えられる災害応急,復旧対策については,災害対応体制や法制度の改善を含め,具体的な内容を詰められるものから,最終報告を待たずに政策として実現が図られるべきとされている。

(「災害対策基本法」の改正)

「防災対策推進検討会議」の中間報告において,東日本大震災の教訓・課題を受けた防災対策全般の見直しの方向性が示された。これを受けた「政府としての当面の取組方針」(平成24年3月29日中央防災会議決定)においては,大規模災害時における対応の円滑化等,緊急性の高いものについて法制化の検討を進め,関連法案の第180回国会への提出を目指す旨が明記された。

この方針に従い,<1>大規模広域な災害に対する即応力の強化,<2>大規模広域な災害時における被災者対応の改善,<3>教訓伝承,防災教育の強化や多様な主体の参画による地域の防災力の向上等を内容とした「災害対策基本法の一部を改正する法律案」について,第180回国会へ提出したところである(図表1-2-3)。

図表1-2-3 災害対策基本法の一部を改正する法律案の概要(第180回国会提出) 図表1-2-3 災害対策基本法の一部を改正する法律案の概要(第180回国会提出)の図表

なお,政府としては,災害対策全般の見直しを引き続き進めることとしており,この旨を同法案の附則に明記している。

(防災基本計画の修正)

「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」(平成23年4月設置。以下「地震・津波対策専門調査会」という。)の提言内容をもとに,地方公共団体の作成する地域防災計画等の基本となる「防災基本計画」を中央防災会議で修正した(平成23年12月)。同計画の中で,従来,津波対策は震災対策の特記事項という位置付けであったが,修正では,津波災害に対する新たな編を設けることとした。主な修正内容は,図表1-2-4のとおりである。

図表1-2-4 防災基本計画の修正のポイント 図表1-2-4 防災基本計画の修正のポイントの図表

東日本大震災の教訓を踏まえ,地域防災計画の津波対策に関する記述については,海と接する地方公共団体の約2割が既に修正し,約2割が間もなく修正する予定としており,約6割が修正に向けて検討を進めているとしている(平成24年4月30日時点。内閣府調べ。)。

以上のとおり,海と接するほぼ全ての地方公共団体が,東日本大震災以降,地域防災計画における津波対策の強化に取り組んでいる。

(地域防災計画の見直しへの支援)

東日本大震災では,地方公共団体において,災害対応の拠点である庁舎や避難所等が被害を受け,住民の避難誘導等に当たる職員や消防職団員等も犠牲になった。

この教訓を踏まえ,消防庁では,地方公共団体が作成する地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化のため,「地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会」を設置(平成23年6月)し,「時間経過に即した災害初期対応のマニュアル等の作成」等,より実効性のある計画にするための工夫をはじめ,計画見直しに当たっての個別の留意点を被害想定,避難対策,災害応急対策及び災害予防に分類して整理するとともに,参考となる事例を取りまとめた(平成23年12月)。

今後も,この取りまとめを参考とした地域防災計画の見直しが行われるよう,地方公共団体に対して必要な支援を行っていくこととしている。


所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.