(2)被災者支援


(2)被災者支援

<1> 避難者・応急仮設住宅

避難者数については,被害の大きかった岩手県,宮城県及び福島県を中心として,平成23年3月14日時点で約47万人に上った。これは平成7年の阪神・淡路大震災(最大時約32万人)と比較すると約1.5倍に上る。その後,平成24年5月10日時点で,公民館や学校等の避難所で生活している者の数は約250人に減少し,応急仮設住宅や公営住宅等で生活している者は約34万1,000人となっており,全国47都道府県約1,200市区町村に所在している。また,自県外に避難等している者は,福島県から約6万2,000人,宮城県から約8,400人,岩手県から約1,600人となっている。

発災直後,避難所においては,食料を含む物資の不足が深刻であったが,物資の調達・輸送を国が直接開始した後,4月に入り著しい物資不足は解消された。また,国では全避難所の生活環境,具体的には食事,下着・洗濯,プライバシーの確保等に関する状況を定期的に把握し,生活環境の改善が遅れている市町村に対して,各県の避難所担当課と協力し,重点的な環境改善が可能となるよう支援した。加えて,避難所の解消や避難等している者に対する適切な支援に資するよう,全国の都道府県や市町村の協力を得ながら,避難者等の数の把握を行った。

また,被災者支援の一環として,生活に役立つ情報等を被災者が身近なところで入手できるよう,壁新聞,生活支援ハンドブック,税制支援ハンドブック,生活・事業再建ハンドブック等を避難所やコンビニエンスストア等で掲示・配布したほか,テレビ,ラジオ,地方新聞,首相官邸ホームページ,首相官邸災害ツイッター,内閣府災害対策ページ等における「被災者支援に関する各種制度の概要(東日本大震災編)」の公表,「復旧・復興支援制度検索サービス」等により各種情報の提供を行った。

応急仮設住宅については,国土交通省における用地確保等の支援のための職員の被災県への派遣,財務省における未利用国有地の無償貸付等,早期完成のための取組を進めた。また,民間賃貸住宅を応急仮設住宅として借り上げる仕組みを初めて本格的に活用した。さらに,被災者の二次避難のため,直ちに利用可能な国家公務員宿舎等の情報を取りまとめ,全都道府県に対して情報提供を行うとともに,都道府県を通じて被災者に無償で提供した。これらにより,当初避難した者の多くが,おおむね平成23年9月頃までには,応急仮設住宅等に入居した。平成24年5月4日時点までに,約5万3,000戸の応急仮設住宅が建設され,約4万9,000戸に約11万7,000人が入居し,約6万8,000戸の民間住宅が借り上げられ,約18万人が入居している。また,約1万9,000戸の国家公務員宿舎・公営住宅等が活用されている。

また,建設された応急仮設住宅については,入居者等に対して実施したアンケート調査結果を踏まえ,

ア 窓の二重サッシ化,断熱材等の追加,バリアフリー化等ハード面の改善措置

イ 買い物支援としての仮設店舗の設置,通勤・通学・通院の交通手段の確保等ソフト面の取組を明示

ウ 入居者の孤立化防止等の観点から,団地ごとのコミュニティの構築に向けた自治会組織の立ち上げを促進(平成24年3月9日時点で,全団地のうち88.9%で設置)

等,入居者の居住環境等の改善対策等を講じた。

図表1-1-10 避難者・応急仮設住宅の状況 図表1-1-10 避難者・応急仮設住宅の状況の図表

<2> ボランティアの取組

発災直後は,主として,災害救援活動に従事しているNPO・NGO等によるボランティア活動が開始され,被災者の救援や,被災地の情報把握に大きな役割を果たした。

その後,交通事情の改善,燃料不足の解消等に伴い,それ以外のNPO・NGO等や一般の人々によるボランティア活動も拡大した。発災後,しばらくの間は,活動の中心が,炊き出し,泥の除去,片付け等であったが,被災者の応急仮設住宅への入居が進む中で,引っ越し支援や買い物代行,応急仮設住宅における生活環境の改善支援や見守り活動,集会所等における交流の場の提供等を通じたコミュニティづくり支援や心のケア,さらには,復興まちづくりへの参画・協力等,ボランティアへのニーズが拡大・多様化している。

ボランティア活動には多くの国民が参加し,平成24年5月20日までに,岩手,宮城及び福島3県の災害ボランティアセンターを経由した活動者数だけでも延べ100万人を超え,災害ボランティアセンターを経由しないで,NPO・NGO等で活動した者も加えれば,非常に多くの国民がボランティア活動に参加したものと考えられる。

今回の震災においては,全国規模のNPO・NGO等のネットワークが構築されるとともに,被災3県に,それぞれ地元のNPO・NGO等のネットワークが構築され,NPO・NGO等同士が連携して,被災者支援及び復興支援を担っている。

また,NPO・NGO等と行政との連携も深まっており,NPO・NGO等の団体,社会福祉協議会,国,地方公共団体等による連絡会議が開催され,具体的課題について連携したり,地元のNPO・NGO等のネットワークが県の委託を受けて応急仮設住宅の生活環境調査を実施する等,官民の協働による取組が進められている。

国においても,発災直後から,内閣官房に震災ボランティア連携室を設置し,その後,平成23年9月16日に東日本大震災復興対策本部事務局,平成24年2月10日に復興庁へと組織を移行しつつ,発災直後からしばらくの間は,必要な支援が届いていない被災者や被災地の情報を現地で活動するNPO・NGO等から得て,必要に応じて,物資等を担当する部署につなぐこと,国の施策や事業の内容について,被災者のために活動を行うNPO・NGO等に対し,情報提供・丁寧な解説を行い,その取組を支援すること,NPO・NGO等の活動の障害となる制度や手続の運用等に関する問い合わせに対して,随時説明,又は必要に応じて関係府省庁に照会,関係府省庁間の調整を行うこと等の取組を行っている。

図表1-1-11 岩手県・宮城県・福島県の災害ボランティアセンターに登録し活動を行った人数 図表1-1-11 岩手県・宮城県・福島県の災害ボランティアセンターに登録し活動を行った人数の図表

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