1 地震・津波の概要


平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は,国内観測史上最大規模の地震であり,大規模な津波を伴い,被災区域が東日本全域に及ぶ未曾有の大災害を引き起こした。

東日本大震災に関しては,甚大な被害の全体像がまだ十分に把握できておらず,引き続き被災者生活支援が求められているほか,復旧も途上で,復興についての議論が緒についたところである。さらに,中央防災会議に「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」が設置されたほか,今回の震災に係る検証や教訓の抽出は,今後本格的に取り組まれることになる。また,原子力発電所事故に関しては,一刻も早い事態の収束に向けて,今なお総力を挙げた取組がなされていることに加え,事故の調査・検証については,今後,「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」において行われることとなっている。

そうした段階での取りまとめにはなるが,現時点(平成23年5月末頃)での今回の大震災の状況及び対応について述べることにする。

第1部 東日本大震災  第1編 地震・津波災害の概要とその対策等

第1章 地震・津波災害等の概要

1 地震・津波の概要

(1)本震及び津波の概要

平成23年3月11日14時46分,牡鹿半島の東南東130km付近の三陸沖を震源とし,震源域が岩手県沖から茨城県沖に及ぶマグニチュード9.0の地震が発生した。この地震の規模は観測史上国内最大規模,世界で見ても1900年以降に発生した地震では4番目の規模であった(表1−1−1)。この地震により,宮城県北部で震度7,宮城県南部・中部,福島県中通り・浜通り,茨城県北部・南部及び栃木県北部・南部で震度6強,岩手県沿岸南部・内陸北部・内陸南部,福島県会津,群馬県南部,埼玉県南部及び千葉県北西部で震度6弱,その他東日本を中心に北海道から九州地方にかけての広い範囲で震度5強〜1が観測された(表1−1−2,図1−1−1,図1−1−2)。

表1−1−1 1900年以降に発生した地震の規模の大きなもの上位10位 表1−1−1 1900年以降に発生した地震の規模の大きなもの上位10位
表1−1−2 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震 表1−1−2 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震
図1−1−1 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の震度分布 図1−1−1 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の震度分布
図1−1−2 震源域における断層面のすべり分布 図1−1−2 震源域における断層面のすべり分布

この地震は,太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した海溝型地震であり,海上保安庁の調査によると,震源の直上において海底が水平方向に約24m移動し,垂直方向に約3m隆起したことから,大規模な津波が発生した。気象庁は14時49分に津波警報(大津波)を発表した。記録されている最大潮位は9.3m(福島県相馬市)に及び,津波の遡上高については,全国津波合同調査グループによると,国内観測史上最大となる40.5mであったことが判明するなど,日本各地で大きな津波が観測された(表1−1−3,図1−1−3)。

表1−1−3 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震を原因とする津波 表1−1−3 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震を原因とする津波
図1−1−3 津波の観測状況 図1−1−3 津波の観測状況

気象庁では,3月11日にこの地震を「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」と命名した。さらに政府では,今回の災害規模が東日本全域に及ぶ甚大なものであることに加え,大規模な地震と津波に加え原子力発電施設の事故が重なるという,未曾有の複合的な大災害であり,今後の復旧・復興施策推進の際に統一的な名称が必要となることから,災害名を「東日本大震災」と呼称することとした(平成23年4月1日閣議了解)。

気象庁によると,震源域は長さ約450km,幅約200kmにわたると解析された。この領域は,地震調査研究推進本部地震調査委員会の長期評価における三陸沖中部,宮城県沖,三陸沖南部海溝寄り,福島県沖,茨城県沖及び三陸沖北部から房総沖の海溝寄りの六つの領域を含む可能性が高いと考えられている。

なお,地震調査委員会では,以上の六つの領域で個別に発生する地震及び宮城県沖と三陸沖南部海溝寄りが連動して発生する地震については,地震規模や地震発生確率等を評価してきたが,これらすべての領域が連動して発生する地震については想定外であった。

(2)余震の活動状況

5月31日までに発生した余震は,最大震度6強が2回,最大震度6弱が2回,最大震度5強が6回,最大震度5弱が23回,最大震度4が135回発生となっており,主な余震活動は以下のとおりとなっている(表1−1−4,表1−1−5,表1−1−6,表1−1−7)。

表1−1−4 茨城県沖を震源とする地震(3月11日) 表1−1−4 茨城県沖を震源とする地震(3月11日)
表1−1−5 宮城県沖を震源とする地震(4月7日) 表1−1−5 宮城県沖を震源とする地震(4月7日)
表1−1−6 福島県浜通りを震源とする地震(4月11日) 表1−1−6 福島県浜通りを震源とする地震(4月11日)
表1−1−7 福島県中通りを震源とする地震(4月12日) 表1−1−7 福島県中通りを震源とする地震(4月12日)
(3)余震域外で発生した主な地震

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の余震域の外でも,以下のような最大震度6強の地震をはじめとする大きな地震が発生した(表1−1−8,表1−1−9)。

表1−1−8 長野県北部を震源とする地震(3月12日) 表1−1−8 長野県北部を震源とする地震(3月12日)
表1−1−9 静岡県東部を震源とする地震(3月15日) 表1−1−9 静岡県東部を震源とする地震(3月15日)

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