2 国際社会における防災への主な取組み
2005年1月,兵庫県神戸市において「国連防災世界会議」(World Conference on Disaster Reduction(WCDR))が開催され,2015年までの国際社会における防災活動の基本的な指針となる「兵庫行動枠組」(HFA)が採択された。「兵庫行動枠組」では,世界共通の防災目標として,世界の災害被害の大幅な削減に向け,持続可能な開発の取組みに減災の観点を取り入れること等を掲げ,5つのテーマについての優先行動を設定するとともに,その実施とフォローアップの方針についても盛り込まれた。
現在,世界の災害被害の実質的な軽減に向け,「兵庫行動枠組」を踏まえ,国,地域機関,国際機関,国連国際防災戦略事務局(UNISDR)の各主体による取組みが進められている。
2−1 国連国際防災戦略事務局(UNISDR)の活動
国連防災世界会議の成果である兵庫行動枠組の実施とフォローアップに当たっては,各国のオーナーシップに基づく取組みとこれを支援する国際的なパートナーシップが重要であるが,これらを促進する上では,兵庫行動枠組にも明記されているとおり,UNISDRが中心的な役割を担うことが期待されている。
UNISDRについては,国連防災世界会議後,兵庫行動枠組を効率的・効果的に推進するため,2005年8月の国連総会で事務局機能強化の必要性が提案され,同年12月に国連事務次長による改革案が公表された。その後,2006年7月の経済社会理事会(ECOSOC)人道問題セグメントにおける協議などを経て,同年12月の第61回国連総会決議により,防災グローバル・プラットフォーム(Global Platform for Disaster Risk Reduction)の設置が決定された。
第1回防災グローバル・プラットフォーム会合は,2007年6月にスイスのジュネーブで開催され,120以上の機関・組織から1,150名が参加し「兵庫行動枠組」の実施に向けた計画・行動を推進するとともに,各分野における国際防災協力を推進することが確認された。
隔年開催されることとされている防災グローバル・プラットフォーム会合の第2回目は,2009年6月16〜19日の間,ジュネーブでの開催予定であり,<1>各国ステートメントなどの全体会合,<2>ハイレベル参加者によるパネルディスカッション,<3>テーマ別サイドイベント,<4>展示ブースやワークショップなどの関連イベント等により構成されることとなっている。
また,2007年10月には,UNISDRは,防災に関する知見・技術が集積されている神戸に兵庫事務所を開設した。
国連防災世界会議の開催から4年経過しており,我が国としては,防災グローバル・プラットフォーム会合の場も活用しながら,兵庫行動枠組のフォローアップに積極的に取り組んでいくこととしている。