第5章 国土保全 1 国土基盤河川事業 1−1 直轄事業



第5章 国土保全

1 国土基盤河川事業

我が国は,国土面積の約1割にすぎない沖積平野に,人口の約半分,資産の約3/4が集中しており,我が国の経済・社会活動の中枢として高度な土地利用が行われている地域の多くが,洪水時の河川水位より低く,水害の危険にさらされている。このため,古くから治水事業の重要性が認識され着実に実施されてきたところであり,浸水面積は減少傾向にある。しかしながら,国土保全施設の整備状況はまだ低い水準にあり,また,洪水等の危険区域における資産が増大しているため,単位面積当たりの水害被害額はかえって増大する傾向にある。更に,近年,地球温暖化に伴う気候変動により,局所的な集中豪雨が頻発・激化している。このような状況の中で,国土交通省においては,社会資本整備重点計画に基づき,治水対策を通じて,安全な社会基盤の形成や活力ある地域づくりの支援を行っている。

平成18年度には,大規模放水路,治水ダムの建設等をはじめとする基幹大河川の整備を重点的に実施した。特に近年激甚な災害が発生した河川等において,再度災害防止対策及び慢性的な床上浸水被害の解消を図る治水対策を徹底した。また,都市化の進展に伴う洪水時の河川への流出増による水害の防止を図るため,流域の持つ保水・遊水機能の確保等と併せて治水施設を整備する流域一体となった治水対策や,早期の治水安全度向上を図るため,土地利用状況を考慮した治水対策を推進した。更に,安全で快適な生活環境や良好な河川環境の実現等を図るため,まちづくりと一体的な河川整備を推進した。

(事業費 746,414,941千円/国費 531,090,235千円)

1−1 直轄事業

(1)直轄河川改修事業

a 直轄河川改修事業

一級河川114河川及び北海道の指定河川2河川について実施した。

b 総合治水対策特定河川改修

流域における保水,遊水機能の確保のための各種流域対策と併せて治水施設を計画的,総合的に整備する必要のある5河川の改修を実施した。

c 特定構造物改築事業

老朽化が著しく,施設機能に著しい障害が生じている大規模な河川管理施設及び流下能力を著しく阻害している大規模な許可工作物の改築を23施設について実施した。

d 高規格堤防(スーパー堤防)整備事業

5水系の区間において,破堤による壊滅的被害の防止を図るため幅の広い堤防を築造し,併せて水辺を生かした良好な市街地環境の形成を図った。

e 土地利用一体型水防災

連続堤防による治水対策に代えて,集落を輪中堤や宅地嵩上げ等で効率的に短期間で整備する必要のある13か所について実施した。

f 直轄流水保全水路整備

流入支川等の水質が著しく汚濁している河川について,流水の適切な保全を図るため,新たな低水路等を整備した。

g 直轄消流雪用水導入事業

消流雪用水の確保が可能な河川から市街地を流れる中心河川等に消流雪用水を導入するための導水路を3か所において整備した。

h 直轄総合水系河川環境整備事業

良好な河川環境の保全・復元のため,自然再生事業等を88水系について実施した。

(2)直轄床上浸水対策特別緊急事業

床上浸水被害が頻発している地域に関係する河川のうち,特に対策を促進する必要がある12か所について実施した。

(3)直轄河川維持修繕

河川管理施設の機能を維持するため,水閘門,堤防,護岸等を維持修繕した。

(4)直轄河川工作物関連応急対策事業

堰,水門,橋梁等工作物の付属施設又は関連施設である護岸,擁壁,護床工,又は門扉等について,前後の一連区間の治水に比較して,工作物周辺の治水機能が劣っているものについて,応急的に改良並びに新・増設の改善措置をとった。

(5)直轄河川災害復旧等関連緊急事業

上流部での災害復旧等による下流部での流量増への対策を機動的,集中的に実施する必要がある1河川について実施した。

(6)直轄河川激甚災害対策特別緊急事業

浸水家屋2,000戸等に相当する洪水被害を生じた直轄河川で,再度災害を防止するため6河川について実施した。

(7)直轄河川都市基盤整備事業

都市部の浸水被害の解消,水環境の改善を図るため,まちづくりと一体となった河川整備及び下水道整備と連携した河川改修等を11河川で実施した。

(8)直轄ダム

53事業(建設工事41事業,実施計画調査12事業)を実施した。


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