3 我が国の国際防災協力 3−1 国際防災協力の必要性



3 我が国の国際防災協力

3−1 国際防災協力の必要性

自然災害から国民の生命や財産を守ることは,全ての国の政府の基本的な責務であり,中央政府は,地方政府,地域コミュニティ等と協力しながら,災害に立ち向かっていく必要がある。

しかしながら,自国の処理能力を超える災害が発生した場合には,国際的な支援が不可欠であり,これまで,国際防災協力は,人道的な観点から,災害後の救援を中心として実施されてきた。

他方,開発途上国では,経済的な制約により,資源を防災対策,特に予防分野へ配分することが困難であり,そのため,災害が甚大な被害を引き起こし,さらなる貧困を招いているという悪循環がある。また,不適切な土地利用計画や環境管理の失敗等により,人間活動が災害リスクを増大させているという面もある。

アジアをはじめとする開発途上国におけるこうした悪循環や災害リスクの増大を断ち切り,持続可能な開発を確保していくことは,経済,社会がグローバル化した国際社会の安定に寄与し,ひいては我が国をはじめとする先進国の経済社会活動の基盤強化にもつながる。

効果的・効率的に開発途上国の防災能力を強化するためには,各国の自助努力や災害後の国際支援のみならず,持続可能な開発をテーマとした環境,教育,農村振興など幅広い分野と連携した国際防災協力を推進していくことが求められる。

開発途上国の防災能力強化を図る取組みとしては,インフラ等のハード面の取組みとソフト面の取組みがあるが,まず,各国が自助努力を促すためには,人材育成・教育・情報などソフト面での取組みが重要である。

すなわち,防災に関わる人材育成や,一般住民への教育,防災の先進国の成功事例や教訓,技術などに関する情報共有といった取組みを先進国の協力のもとに進め,各国が防災にかかる現状とあるべき姿,更にはそのギャップを埋めるために何をすべきかを認識していくことが,開発途上国の災害による人的・物的被害の軽減のためには極めて効果的・効率的である。


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