5−2 三宅島噴火災害の復興対策



5−2 三宅島噴火災害の復興対策

平成12年6月26日に地震が多発,「噴火のおそれがある」旨の緊急火山情報が出され,その後いったん活動は低下したものの,それ以降,山頂噴火が繰り返され,平成12年8月25日に三宅村の小中高校生の島外避難を決定し,9月2日には防災関係者を除く全島民に対して島外避難指示が発令され,9月4日までに避難が完了した。三宅村は,平成16年3月の「三宅島帰島プログラム準備検討会」の最終報告,「帰島に関する意向調査」,三宅島火山活動に関する火山噴火予知連絡会統一見解等を踏まえ,同年7月20日に「島民の帰島の意向を踏まえ,安全対策等を講じた上で,平成17年2月頃に避難指示を解除する」旨の「帰島に関する基本方針」を決定した。政府は,村民の方々が円滑に帰島できるよう支援を行う場として,「三宅島帰島対策関係省庁等連絡会議」を設置し,村民の安全確保に向けた対策,基盤整備対策,生活再建に向けた対策など,被災地の復旧・復興への取組みを支援している。平成16年9月,三宅島は,「三宅村帰島計画」等を公表し,平成17年2月1日,避難指示を解除,2月から4月にかけて順次帰島しており,三宅村の世帯数は1,404世帯,人口は2,439人(平成17年国勢調査結果)となっている。

なお,現在も引き続き行われている主な復興事業等については以下のとおりである。

(1)砂防・治山事業

砂防ダムの災害復旧事業については,平成18年度までに51基が完成し,災害復旧事業が完了した。また,平成17年度から離島火山砂防事業により,現状における緊急整備を要する箇所について重点的に災害フォローを実施しており,平成19年度には三ノ輪沢の砂防ダム1基が完成した。しかしながら,平成19年10月の台風20号による記録的大雨により,榎木沢と三池沢の2渓流で被害が発生し,災害関連緊急砂防事業の採択を受け,再度災害防止に向け,事業を行っている。なお,平成20年度は離島火山砂防事業としては5渓流について整備を進めている。

また,治山事業については,火山治山激甚災害対策特別緊急事業により平成19年度は6渓流9か所の整備を行い,平成19年度末までに24渓流で荒廃地の復旧等を行った。平成20年度は,復旧治山事業により2渓流について谷止工による整備を進めている。

(2)交通基盤事業

a 道路整備

都道については,都道(三宅一周道路)の16か所4.2kmの査定を受けた災害復旧事業が平成16年4月までに整備が完了した。また,林道は,平成17年12月を最終とし,4路線32か所の災害査定を受け,平成19年度に災害復旧工事が終了した。

b 空港整備

ターミナルビルが高濃度地区内にあり供用できない状況のため,平成18年3月に高濃度地区以外に仮設ターミナルを竣工した。

なお,定期航空路の再開については,東京都,三宅村,国土交通省,気象庁,航空会社など関係機関による協議が整い,平成20年4月26日からの運航再開が決定した。

(3)漁港の整備

村民の暮らしの基本となる被災漁港(3漁港)のうち,阿古漁港及び伊ヶ谷漁港については,平成16年度に災害復旧の工事が完了し,坪田漁港は平成18年度に災害復旧工事の整備が完了した。なお,伊ヶ谷漁港については,島外避難のための5,000t級の定期貨客船が接岸できる特定目的岸壁が整備されている。また,アクセス道路の拡幅工事は平成18年度に完了しており,駐車場の整備は,平成22年度に整備を完了する予定である。

(4)農地の整備

災害査定を受けたすべての農地については,平成17年度中に災害復旧が完了している。

(5)文教・福祉施設の整備

a 学校の再開

学校については,平成17年4月に開設されており,保育園(園児38人),小学校(生徒数:58人),中学校(生徒数:49人),高校(生徒数:46人)となっている。(平成20年4月1日現在)。

b 特別養護老人ホームの再開

平成6年に開設された特別養護老人ホーム(入所者数:50床)については,平成18年度に災害復旧工事が完了し,平成19年4月1日に再開した。

(6)住宅対策

村営住宅については,平成20年1月1日現在で,45棟202世帯が入居している。このうち,高濃度地区住民に対する家賃免除は,平成17年度末で終了している。

(7)税制改正

三宅島噴火災害により滅失・損壊した家屋及び償却資産に代わるものとして取得する家屋及び償却資産に係る固定資産税について,最初の4年間2分の1減額する措置を避難指示の解除後,解除のあった年の翌年から3年を経過するまでの間,講ずることとした。また,住宅が震災等の事由により滅失・損壊した土地について,やむを得ない事情により当該土地を住宅用地として使用できないと認められ,震災等に基づく避難指示等が長期間に及ぶときは,震災等の発生から避難指示等の解除後3年度分までの固定資産税について,当該土地を住宅用地とみなす措置を講ずることとした。


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