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第1部 災害の状況と対策 序章 災害に対する関心の高まりを「自助」「共助」の防災行動につなげる



第1部 災害の状況と対策

序章 災害に対する関心の高まりを「自助」「共助」の防災行動につなげる

我が国では,大規模地震発生の切迫性が高まっている中,防災対策の実効性をこれまで以上に高めることが急務となっている。

例えば,概ね一定の間隔で発生することが知られているマグニチュード8クラスの海溝型の巨大地震についてみると,被害想定において死者約9,200人と想定されている東海地震はほぼ100年から150年の間隔で発生しているが,最後の1854年の安政東海地震以降は発生しておらず,いつ発生してもおかしくないとされている。また,被害想定において死者約18,000人と想定されている東南海・南海地震も同様の間隔で発生しており,直近では1944年に東南海地震が,1946年に南海地震が発生していることから,今世紀前半にも発生するおそれがある。

6,400名以上の方が亡くなられた平成7年の阪神・淡路大震災は内陸部の活断層で発生したが,日本全国には約2,000に上る活断層があると言われており,それらの活断層ではマグニチュード7クラスの地震をもたらすものが確認されている。こうした地震が首都圏などの大都市圏で発生した場合には,甚大かつ広域の被害が想定され,例えば,近畿圏の内陸地震では上町断層の地震により死者約42,000人,中部圏の内陸地震では猿投−高浜断層帯の地震により死者約11,000人が想定されている。

図表1 大規模地震の被害想定(人的被害を中心に) 大規模地震の被害想定(人的被害を中心に)の図表

更に,2005年に米国で発生したハリケーン・カトリーナによる高潮災害をはじめとし,近年,世界的に大規模水害が多発し,我が国でも,豪雨の発生頻度が近年増加傾向にあるように,今後は,地球温暖化に伴う気候変動により,大雨の頻度増加,台風の強大化,海面水位の上昇等を通じた風水害の頻発・激甚化などの懸念が指摘されている。

このように一度発生すれば甚大な被害が想定される大規模災害のみならず,その自然的条件から自然災害が発生しやすい我が国においては,毎年,台風,豪雨,豪雪,土砂災害等により多くの尊い人命が失われている。過去10年の統計でみると,自然災害により約1,200名の方が亡くなられており,このうち風水害や雪害によるものがほぼ9割を占めているが,台風や大雨の際の外出時の事故や豪雪時における除雪中の事故といった身近な災害によって亡くなられた方も多い。

図表2 過去10年の犠牲者とその要因 過去10年の犠牲者とその要因の図表

これに対し,政府としては,大規模地震に対しては,地震防災戦略など減災のための戦略や応急対応活動のための要領の整備を進めているほか,首都地域に甚大な被害を発生させることが想定される荒川及び利根川の洪水,はん濫並びに高潮による大規模水害への対策について検討を進めており,政府を挙げて対策を推進しているところである。

また,平成19年12月には,自然災害の「犠牲者ゼロ」を目指す取組みとして,国民一人ひとりが実際に直面する可能性の高い被災事例について必要な対策を取りまとめ,更に本年4月には,災害対策をソフト・ハード両面から進めていくにあたり,「自助」や「共助」の取組みを促進するための環境整備のあり方や我が国の防災上の課題を踏まえた防災基盤の整備のあり方について,それぞれの基本的な考え方と施策の方向を明らかにした総合プランを策定したところである。

防災対策は,自助,共助,公助の三要素が効果的に組み合わせられることによって効果を挙げることができる。とりわけ,我が国におけるこれまでの幾多の災害経験において示されたように,自然災害に対して十分な備えをするためには,自助,共助が極めて大きな役割を果たす。自助,共助は,国民の行動にその基礎を置くものであるため,防災対策の実効を挙げるという観点からは,国民の実際の防災行動にいかにして結びつけるかが重要になる。

本章では,防災対策の実効性をより高めるという観点から,自助,共助の取組みを促進するため,国民の防災意識をいかにして実際の防災行動へとつなげていくかという課題について検討するとともに,併せて,防災対策を取り巻く経済,社会,自然環境の変化に対し,どのようにしてその実効性を確保していくべきかについて述べることとする。


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