新潟県柏崎市北条地区(高齢者の割合は36%)では,平成16年の新潟県中越地震の被災経験をいかし,地区コミュニティ内の自主防災組織の強化,防災訓練の実施,要援護者リストづくりの充実などの防災体制の強化を図っており,平成19年7月に発生した新潟県中越沖地震の際には,被害状況の把握や必要な物資の調達などを迅速に行うことができた。
前回の地震の際には,同地区コミュニティの23の町内会(当時)のうち,2つの町内会にしか自主防災組織がなく,地区として被害状況を把握することができなかった。その経験を踏まえ,平成18年中には,地区内の全ての町内会で自主防災組織を立ち上げるとともに,災害時の情報連絡体制を整備し,また防災訓練も実施した。その結果,今回の地震の際には,人的被害や住家被害等の情報の第一報が地震発生から2時間以内に地区コミュニティに寄せられ,要援護者の安否確認や避難支援を迅速に行うことができた。
また,前回の地震では,屋根瓦の崩落が多く,被災者が最も必要とした物資はブルーシートであり,全ての被災者にブルーシートが行きわたるまでに2週間程度を要した。今回の地震では,被災直後から2時間以内に必要物資の把握を行い,ブルーシートを最優先で要望し,被災から2日後までに,地区として可能な限りの数量を確保でき,被災者に喜ばれた。

