

平成19年3月に石川県で発生した能登半島地震により,高齢者(65歳以上)の割合が47%を超える輪島市の旧門前町では,29人が負傷(うち22人が重傷),住宅の全・半壊が合わせて約1,000棟など大きな被害が生じたが,住民の救助活動に当たっては,民生委員が予め作成していた「地域みまもりマップ」により,高齢者等の要援護者の安否確認を迅速に行うことができた。
地域マップは,寝たきりや一人暮らしの高齢者などの所在地を蛍光ペンで色分けして明らかにした地図であり,地震・台風・火災等の災害時における安否確認等や福祉サービスとしての見まわり活動の基盤として,阪神・淡路大震災後に,石川県が作成を推進していたものである。同マップは,個人情報保護の観点から多くの市町村で作成が中断されていたが,旧門前町では,民生委員等の判断により,毎年更新をしていた。
地域マップが発災直後の安否確認に有効に機能したのは,平時から民生委員や福祉推進委員が日頃の見まわり活動を通じて,高齢者等の所在地が頭に入っていたこと,高齢者等と顔なじみになっていたことが指摘されている。
地域マップは,発災直後の避難誘導にだけでなく,発災から数日が経過した後,保健師が要援護者を訪問する際や,他の地域から支援活動に訪れたボランティアの方々の道案内としても役だった。