3−3 平成16年7月福井豪雨



3−3 平成16年7月福井豪雨

(1)災害の状況
 7月17日夜から18日にかけて,活発な梅雨前線が北陸地方をゆっくり南下したのに伴い,北陸地方と岐阜県で大雨となった。特に,18日朝から昼前にかけて福井県で非常に激しい雨が降り,美山町では総降水量が285mmに達し,7月の月間雨量平年値(236.7mm)を上回った。梅雨前線の活動は18日午後には弱まり,この地方での大雨は終息した。
 この大雨により,福井県内各所に被害が発生し,死者4名,行方不明者1名,負傷者19名,住家全壊66棟,住家半壊135棟,住家一部破損229棟,床上浸水4,052棟,床下浸水9,675棟の被害が発生したほか,合計で少なくとも約55,000世帯に避難指示・勧告が出された。
 土砂災害については,土石流104件,地すべり4件,がけ崩れ30件発生した。
 河川については,1水系2河川で警戒水位を超え,九頭竜川水系の足羽川,日野川等で破堤・河道洗掘等が発生し,広範囲に浸水被害が発生した。
 ライフライン関係においては,北陸電力管内で延べ約22,700戸が停電となったほか,ガスについては福井県内で延べ3戸が供給停止,上水道については6,793戸が断水した。
 電気通信関係では,福井県内の約370加入の電話が不通となったほか,携帯電話基地局27局が停波した。
 道路については,高速自動車国道,国道及び県道等計56箇所で通行規制が行われ,鉄道については,JR線等の各線で運休が発生した。
 公共土木施設では,河川417か所,砂防施設等192か所,道路(橋梁を含む)345か所,港湾1か所,下水道施設10か所,公園4か所で被害が発生した。
 農林水産業関係では,農地4,467か所,農業用施設5,990か所,林地等1,359か所,林道等2,806か所に被害が発生した(平成16年7月新潟・福島豪雨の被害か所含む)。
 文教施設等では,公立学校施設36校,私立学校施設5校,社会教育・体育,文化施設等32施設,文化財等1件に被害が発生した。

(2)国等の対応状況
 7月18日17時及び7月19日17時より,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し,災害対策に万全を期すことを確認した。
 7月20日に佐藤内閣府副大臣(当時)を団長とする12府省庁23名の政府現地調査団を福井県へ派遣した。
 7月26日14時からは新潟・福島豪雨とも併せ,平成16年7月梅雨前線豪雨災害対策関係省庁局長会議を開催し,[1]豪雨災害時の防災情報の伝達・提供の迅速化・確実化,[2]災害時に高齢者等が安全かつ迅速に避難できる体制の整備,[3]河川堤防の点検・整備をはじめ総合的な治水対策の推進,[4]局所的集中豪雨に係る観測・予報体制等の充実強化,[5]その他応急活動の支援強化等について,今回の豪雨災害の実態を検証しつつ「検討すべき課題」や「実施すべき対策」を具体的に確認,以上5点について協議を行い,併せてこれらの検討及び対策の実施状況については,この関係省庁局長会議で随時とりまとめ,中央防災会議に報告することを確認した。
 また,福井県が7月18日,福井市,鯖江市,今立町,美山町,池田町に対し災害救助法を適用した。これに基づき福井県は応急仮設住宅21戸を建設した。
 また,被災者生活再建支援法に基づく被災者生活再建支援金支給制度を,適用日を7月18日として福井県福井市,鯖江市,今立町,美山町及び池田町に適用した。
 さらに,平成16年8月31日閣議決定,9月3日公布・施行の「平成十六年七月八日から同月二十一日までの間の豪雨による災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」により激甚災害として指定し,公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助,農地等の災害復旧事業等に係る補助の特例措置等を適用するとともに新潟県三条市,見附市,南蒲原郡中之島町及び三島郡和島村並びに福井県足羽郡美山町の区域に係る激甚災害については,中小企業信用保険法による災害関係保証の特例等を適用した。
 内閣府は,新潟・福島豪雨に際し設置した情報対策室において,引き続き,関係機関から情報収集を行うとともに,官邸,関係省庁との情報連絡を行った。
 警察庁においては,新潟・福島豪雨に引き続き「災害警備連絡室」を設置して,関連情報の収集,関係機関との連絡調整,警察広域緊急援助隊や警察用航空機の派遣調整等に当たった。また,機動警察通信隊は関係機関への映像配信等に当たった。さらに,福井県公安委員会からの援助要求を受けて,警察広域緊急援助隊延べ人員525名を福井県内に派遣し,同隊は警察用航空機やボート等による孤立者救助,行方不明者捜索等に当たった。
 防衛庁は,新潟・福島豪雨から引き続き災害対策連絡室を設置し,福井県知事からの災害派遣要請を受け,7月18日から8月3日までに人員約5,500名,車両約1,600両,航空機9機により,孤立者の救出活動,救援物資の輸送,道路啓開作業,防疫活動及び倒壊家屋解体作業を実施した。
 消防庁は,7月18日8時,災害対策室を設置し,関係機関との連絡調整に当たるとともに,緊急消防援助隊の福井県への出動を要請した。同隊は延べ人員679名,ボート80隻,航空機9機により孤立住民等の救助活動,情報収集活動を実施した。また,職員を現地に派遣した。
 海上保安庁では,巡視船艇延べ3隻,航空機延べ10機,特殊救難隊延べ2隊により孤立者救助,被害状況調査,沿岸海域調査等を行った。
 総務省は,8月5日以降,福井市,池田町,鯖江市及び美山町において,関係行政機関等の協力を得て,特別総合行政相談所を開設した。また,福井県福井市,鯖江市,美山町,今立町及び池田町に対し,8月17日,9月に定例交付すべき普通交付税の一部を繰上げて交付した。
 財務省は,7月30日,福井県の一部の地域における国税の申告期限等の延長を告示した。
 文部科学省は,新潟・福島豪雨に際し設置した災害情報連絡室において引き続き対応した。
 厚生労働省は,7月18日19時,省内関係局庁の連絡体制を整備した。
 農林水産省は,新潟・福島豪雨に際し設置した省内関係局庁連絡会議において引き続き対応した。7月21日,平成16年7月梅雨前線豪雨による農作物等の被害に係る迅速かつ適切な損害評価の実施及び共済金の早期支払についての指導通知を被災各県及び関係団体に発出,7月22日,被害農林漁業者に対する経営資金等の融通及び既貸付金の償還猶予等が図られるように関係金融機関に依頼した。
 経済産業省は,7月20日,豪雨による産業被害からの早期の復旧支援を図るため,省内に「災害復旧連絡会議」を設置した。また,被災地における産業被害をからの早期復旧支援を図るため,所管の関係団体に便宜を図るように要請した。
 資源エネルギー庁は,電気料金及びガス料金の支払期限の延長等の災害特別措置を認可した。
 中小企業庁は,7月20日,福井県の政府系中小企業金融機関,信用保証協会,主要商工会議所,商工会連合会及び近畿経済産業局に対し,災害に係る特別相談窓口設置を指示するとともに,政府系中小企業金融機関に災害復旧貸付の適用,政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に既往債務の条件緩和等に関する企業の実情に応じた対応を指示した。また,8月20日,福井県の5市町を,信用保証協会のセーフティネット保証(4号)の対象として指定(官報告示)した。
 国土交通省は,7月18日14時30分に非常体制をとり対応,ヘリコプターの活用等による情報収集を実施,排水ポンプ車,照明車を現地に派遣した。
 国土地理院は,現地調査を実施し被害状況分布図等の編纂を行った。
 気象庁は,防災関係機関や住民に対して適宜適切に防災気象情報を提供するとともに,この豪雨について「平成16年7月福井豪雨」と命名した。
 

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