3−2 平成16年7月新潟・福島豪雨



3−2 平成16年7月新潟・福島豪雨

(1)災害の状況
 7月12日夜から13日にかけて,日本海から東北南部に停滞する梅雨前線の活動が活発化し,新潟・福島の両県で豪雨となった。特に,13日朝から昼過ぎにかけて,新潟県の長岡地域,三条地域を中心に非常に激しい雨が降った。13日の日降水量は,新潟県栃尾市で421mmに達するなど,長岡地域,三条地域の一帯でこれまでの最大日降水量の記録を上回った。次いで7月14日と15日の両日は梅雨前線の活動がやや穏やかになり,新潟・福島県内の日降水量は数十mm以内にとどまった。しかし,16日から梅雨前線の活動が再び活発化し,18日朝にかけて,断続的に強い雨が降った。平成16年7月新潟・福島豪雨で大きな被害のあった地域でも,17日夕方に一時激しい雨が降った。16日〜18日の3日間の総降水量は,新潟・福島県内の多い所で290mmに達した。
 この大雨により,新潟県を中心に被害が発生し,死者16名,負傷者4名,住家全壊70棟,住家半壊5,354棟,住家一部破損94棟,床上浸水2,149棟,床下浸水6,208棟の被害が発生したほか,合計で30,947世帯に避難指示・勧告が出された。
 土砂災害については,土石流16件,地すべり100件,がけ崩れ158件発生した。
 河川については,最上川水系の鮭川において計画高水位を超えたほか東北や北陸地方の多数の河川で警戒水位を超え,一部では危険水位に達したほか,県管理河川である信濃川水系の五十嵐川,刈谷田川等において破堤・溢水が発生し,浸水被害が広範囲に発生した。
 ライフライン関係においては,東北電力管内で延べ約20,032戸が停電となったほか,ガスについては新潟県内で延べ375戸が供給停止,上水道については新潟県を中心に9,202戸が断水となった。
 電気通信関係では,新潟県内の約1,500加入の電話が不通となったほか,携帯電話基地局7局が停波した。
 道路については,高速自動車国道,国道及び県道等計485箇所で通行規制が行われ,鉄道については,JR線等の各線で運休が発生した。
 公共土木施設では,河川1,432か所,砂防施設等31か所,道路(橋梁を含む)1,136か所,港湾1か所,下水道5か所,公園11か所で被害が発生した。
 農林水産業関係では,農地4,467か所,農業用施設5,990か所,林地等1,359か所,林道等2,806か所に被害が発生した(平成16年7月福井豪雨の被害か所含む)。
 文教施設等では,国立学校施設1校,公立学校施設53校,私立学校施設7校,社会教育・体育,文化施設等32施設,文化財等2件に被害が発生した。
 社会福祉施設等では,老人福祉施設10か所,児童福祉施設18か所,障害者施設10か所に被害が発生した。
(2)国等の対応状況
 7月14日9時30分,7月14日20時45分,7月15日20時30分及び7月16日20時45分の4回,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し,被害情報や各省庁の対応状況について情報の共有を図り,対応方針を決定した。
 7月14日に井上防災担当大臣(当時)を団長とする12府省庁36名の政府現地調査団を新潟県へ派遣,さらに7月15日には佐藤内閣府副大臣(当時)を団長とする7府省庁13名の政府現地調査団を福島県へ派遣した。
 さらに,7月19日には小泉内閣総理大臣による新潟県における現地視察を実施した。
 7月26日14時からは平成16年7月梅雨前線豪雨災害対策関係省庁局長会議を開催し,[1]豪雨災害時の防災情報の伝達・提供の迅速化・確実化,[2]災害時に高齢者等が安全かつ迅速に避難できる体制の整備,[3]河川堤防の点検・整備をはじめ総合的な治水対策の推進,[4]局所的集中豪雨に係る観測・予報体制等の充実強化,[5]その他応急活動の支援強化等について,今回の豪雨災害の実態を検証しつつ「検討すべき課題」や「実施すべき対策」を具体的に確認,以上5点について協議を行い,併せてこれらの検討及び対策の実施状況については,この関係省庁局長会議で随時とりまとめ,中央防災会議に報告することを確認した。
 また,新潟県が7月13日,長岡市,三条市,見附市,中之島町,栃尾市,三島町及び和島村に対し災害救助法を適用した。これに基づき新潟県は応急仮設住宅400戸を建設した。
 また,被災者生活再建支援法に基づく被災者生活再建支援金支給制度を,適用日を7月13日として新潟県三条市,見附市,長岡市,栃尾市,三島町,和島村及び中之島町に適用した。
 さらに,8月31日閣議決定,9月3日公布・施行の「平成十六年七月八日から同月二十一日までの間の豪雨による災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」により激甚災害として指定し,公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助,農地等の災害復旧事業等に係る補助の特例措置等を適用するとともに新潟県三条市,見附市,南蒲原郡中之島町及び三島郡和島村並びに福井県足羽郡美山町の区域に係る激甚災害については,中小企業信用保険法による災害関係保証の特例等を適用した。
 内閣府は,7月13日11時45分,情報対策室を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,官邸,関係省庁との情報連絡を行った。
 警察庁においては,7月13日20時,「災害警備連絡室」を設置して,関連情報の収集,関係機関との連絡調整,警察広域緊急援助隊や警察用航空機の派遣調整等に当たった。また,機動警察通信隊は関係機関への映像配信等に当たった。さらに,新潟県公安委員会からの援助要求を受けて,警察広域緊急援助隊延べ人員729名を同県内に派遣し,同隊は警察用航空機やボート等による孤立者救助,行方不明者捜索等に当たった。
 防衛庁は,7月13日 20時,災害対策連絡室を設置し,新潟県知事からの災害派遣要請を受け,7月13日から23日までに人員約5,300名,車両約990両,航空機65機により,決壊防止のための土のう積み,孤立者の救出活動,道路啓開作業及び給水支援等を実施した。
 消防庁は,7月13日11時45分,災害対策室を設置し,関係機関との連絡調整に当たるとともに,緊急消防援助隊の新潟県への出動を要請した。同隊は延べ人員693名,ボート66隻,航空機9機により孤立住民等の救助活動,情報収集活動を実施した。また,職員8名を現地に派遣した。
 海上保安庁では,航空機延べ22機により孤立者救助,行方不明者の捜索活動,被害状況調査及び沿岸海域調査を行った。
 総務省は,新潟県長岡市,三条市,見附市,栃尾市,中之島町及び寺泊町に対し,8月17日,9月に定例交付すべき普通交付税の一部を繰上げて交付した。さらに,8月6日以降,新潟県見附市,中之島町,三条市において,関係行政機関等の協力を得て,特別総合行政相談所を開設した。
 財務省は,7月30日,新潟県の一部の地域における国税の申告期限等の延長を告示した。
 文部科学省は,7月13日13時,災害情報連絡室を設置した。
 厚生労働省は,7月13日12時,省内関係局庁の連絡体制を整備した。
 農林水産省は,7月13日13時,省内関係局庁連絡会議を開催した。さらに,7月21日,平成16年7月梅雨前線豪雨による農作物等の被害に係る迅速かつ適切な損害評価の実施及び共済金の早期支払についての指導通知を被災各県及び関係団体に発出,7月22日,被害農林漁業者に対する経営資金等の融通及び既貸付金の償還猶予等が図られるように関係金融機関に依頼した。
 経済産業省は,7月20日,豪雨による産業被害からの早期の復旧支援を図るため,省内に「産業復旧連絡会議」を設置,被災地における産業被害から早期の復旧支援を図るため,所管の関係団体に便宜を図るように要請した。
 資源エネルギー庁は,電気料金及びガス料金の支払期限の延長等の災害特別措置を認可した。
 中小企業庁は,7月15日,新潟県の政府系中小企業金融機関,信用保証協会,主要商工会議所,商工会連合会及び関東経済産業局に対し,災害に係る特別相談窓口設置を指示するとともに,政府系中小企業金融機関に災害復旧貸付の適用,政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に既往債務の条件緩和等に関する企業の実情に応じた対応を指示した。また,8月12日,新潟県の7市町村を,信用保証協会のセーフティネット保証(4号)の対象として指定(官報告示)した。
 国土交通省は,7月13日6時30分に警戒体制をとり,ヘリコプターの活用等による情報収集を実施,排水ポンプ車,照明車を現地に派遣した。
 国土地理院は,現地調査を実施し被害状況分布図等の編纂を行った。
 気象庁は,防災関係機関や住民に対して適宜適切に防災気象情報を提供するとともに,この豪雨について「平成16年7月新潟・福島豪雨」と命名した。


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