3−4 台風第10号・第11号及び関連する大雨



3−4 台風第10号・第11号及び関連する大雨

(1)災害の状況
 台風第10号は,7月25日21時に南鳥島の西海上で発生,発達しながら本州の南海上を北西〜西北西に進み,31日16時過ぎに強い勢力のまま高知県西部に上陸した。その後,中国地方西部を経て,日本海を北上し,8月1日21時に熱帯低気圧に変わった。この台風の影響により,7月29日から31日にかけて東日本の太平洋側と西日本で大雨となった。台風の通過後も,8月1日から2日にかけて,発達した雨雲が太平洋から四国地方に流れ込み,高知県や愛媛県で1時間に100mmを超える猛烈な雨を観測した。7月29日から8月2日までの5日間の総降水量は,徳島県や奈良県の多いところで1000mmを超え,高知県では700mmを超えた。この総降水量は,7月や8月のそれぞれの月間降水量の平年値の2〜3倍に相当する。
 台風第11号は,8月4日12時に紀伊半島の南南東の海上で発生し,北西に進み,4日22時半頃に徳島県阿南市付近に上陸した。その後,兵庫県を経て,日本海を北上し,8月5日6時に熱帯低気圧に変わった。この台風や台風から変わった熱帯低気圧の影響により,近畿南部を中心に,東海から九州にかけての各地で大雨となった。8月4日0時から5日16時までの総降水量は,奈良県の多いところで700mmを超えた。この総降水量は,8月の月間降水量の平年値の約1.8倍に相当する。
 この二つの台風及び関連する大雨により,死者3名,負傷者19名,住家全壊11棟,住家半壊22棟,住家一部破損61棟,床上浸水274棟,床下浸水2,579棟の被害が発生したほか,最大1,973人に避難勧告が出された。
 土砂災害については,土石流19件,地すべり7件,がけ崩れ48件発生した。
 河川については,新宮川水系の相野谷川で一時計画高水位を超えたほか,多数の河川で警戒水位を超え,一部では危険水位に達し,内水氾濫等による浸水被害が広範囲に発生した。
 ライフライン関係においては,関西・中国・四国電力管内で延べ約94,000戸が停電となったほか,ガスについては広島県内で3戸が供給停止,上水道については,奈良県,徳島県,愛媛県,高知県において1,972戸が断水した。電気通信関係では,携帯電話基地局60局が停波した。
 道路については,高速自動車国道,国道等495か所で通行規制が行われ,鉄道については,中部,近畿,四国の各線で雨量規制のために運休が発生した。
 公共土木施設では,河川1,436か所,海岸6か所,砂防施設等55か所,道路(橋梁を含む)1,212か所,港湾7か所,公園2か所で被害が発生した。
 農林水産業関係では,農地1,956か所,農業用施設1,874か所,林地等225か所,林道760か所,漁港7か所に被害が発生した。
 文教施設等では,国立学校施設5校,公立学校施設21校,私立学校施設16校,社会教育・体育,文化施設等3施設,文化財等3件で被害が発生した。
 社会福祉施設等では,老人福祉施設4か所,障害施設1か所に被害が発生した。

(2)国等の対応状況
 この災害について,徳島県が,7月31日,上那賀町及び木沢村に災害救助法を適用した。
 さらに,10月5日閣議決定,同月8日公布・施行の「平成十六年七月二十九日から八月六日までの間の暴風雨及び豪雨による災害についての激甚災害並びにこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」により激甚災害として指定し,農地等の災害復旧事業等に係る補助の特例措置等を適用した。
 内閣府は,7月31日16時20分,情報対策室を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,官邸,関係省庁との情報連絡を行った。
 警察庁においては,台風第10号については7月31日8時,台風第11号については8月4日15時30分,それぞれ「災害警備連絡室」を設置し,情報の収集及び関係機関との連絡調整等に当たった。また,機動警察通信隊は関係機関への映像配信等に当たった。
 防衛庁は,新潟・福島豪雨から引き続き災害対策連絡室を設置し,徳島県知事からの災害派遣要請を受け,8月2日から6日までに人員約450名,車両約100両,航空機14機により,行方不明者の捜索活動及び孤立者の救出活動等を実施した。
 消防庁は,7月31日16時20分,災害対策室を設置し,関係機関との連絡調整に当たった。
 海上保安庁では,徳島県災害対策本部への連絡要員の派遣及び徳島沖へのヘリコプター搭載型巡視船1隻の配備を行った。
 総務省は,徳島県上那賀町及び木沢村に対し,8月17日,9月に定例交付すべき普通交付税の一部を繰上げて交付した。
 文部科学省は,新潟・福島豪雨に際し設置した災害情報連絡室において引き続き対応した。
 厚生労働省は,8月2日9時,省内関係局庁の連絡体制を整備した。
 農林水産省は,7月30日10時30分,省内関係局庁連絡会議を開催した。
 資源エネルギー庁は,電気料金の支払期限の延長等の災害特別措置を認可した。
 中小企業庁は,8月4日,徳島県の政府系中小企業金融機関,信用保証協会,主要商工会議所,商工会連合会及び四国経済産業局に対し,災害に係る特別相談窓口設置を指示するとともに,政府系中小企業金融機関に災害復旧貸付の適用,政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に既往債務の条件緩和等に関する企業の実情に応じた対応を指示した。
 国土交通省は,7月31日0時35分に警戒体制をとり,ヘリコプターの活用等による情報収集を実施,排水ポンプ車,照明車を現地に派遣した。
 気象庁は,防災関係機関や住民に対して適宜適切に防災気象情報を提供した。


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