3−2 ハザードマップで災害リスクを知る



3−2 ハザードマップで災害リスクを知る

  自分たちが暮らしている地域がどのような災害のリスクを有しているのかを一人ひとりが認識しておく必要がある。これを助けるのがハザードマップであるが,未だ作成・周知が十分であるとは言い難く,その普及は急務であり,国においてもその作成を支援していくことが必要である。
 例えば,ハザードマップについては,地震や津波,火山噴火,洪水などの災害の種類により危険区域や避難方法などが異なるため,それぞれの災害現象についての専門性を有する国の各機関においてマニュアルの作成等技術的な支援を行い,普及促進に努めている。

ハザードマップ作成状況

 ハザードマップの成果については,印刷物,インターネット,ワークショップ等の多様な手段を用いて住民等への周知を行うことは当然であるが,その際には,身体障害者や高齢者,子供,外国人などや,観光客,ドライバー等の住民以外への周知方法についても適切な取組みを進める必要がある。さらに,その作成段階において,地域情報の反映などのため住民の参加を促すことが重要であり,住民自らが地域特性や状況を想定して避難経路などを記入した方が,災害時においてより適切な行動をとることが可能になる。防災意識の向上は,受け身であるだけでなく,住民の側のより積極的な参加によって効果が高められる。

COLUMN  住民参加のハザードマップの作成(高知県須崎市の例)
  高知県須崎市においては,地域住民の意見・要望を反映した実効性の高い避難地図の作成を目指し,小地区別を基本とした地元住民とのワークショップを通じて「須崎湾津波ハザードマップ(津波避難地図)」を作成し,平成16年4月に公表している。
 ワークショップでは地域住民がより細かく議論,検討できるように詳細な浸水深さや建物高さを表示した大判の浸水予想図を用意し,これに住民たちが書き込むという方法がとられ,その結果,新たな避難場所や避難経路が追加されている。このように住民参加の下でハザードマップを作成することにより,地域住民の意見を踏まえたきめ細かく実効性の高いマップ作成を実現することが期待されている。

(1)地震ハザードマップ
 起こりうる地震のリスクを住民に周知する手段として,被害想定によって示された地域の被害状況を示したマップは有効であり,建物倒壊による犠牲者が多く出る可能性の高い地域や火災延焼の被害が大きいと予想されるエリアがこれにより一定程度認知されることは重要である。
 地方公共団体レベルでの地震ハザードマップ作成の例としては,東京都の「あなたのまちの地域危険度」があり,都内都市計画区域内の5,073の町丁目毎に,地震に対する建物,火災,避難の危険性について5段階で相対的に評価しているほか,都内の避難場所を図表で示し,説明を英語,中国語,韓国語でも表示している。
 こうしたハザードマップについては,目的に応じたマップの作成,活用が必要となるが,住宅等の耐震化促進をねらいとした住宅所有者等の防災意識の高揚にあたっては,身近な地域レベルでの揺れの強さに着目した危険度を示すマップが効果的である。このため,内閣府では,身近な地域の建物倒壊の危険度を示した「地震防災マップ」の作成方法について,全国9つのモデル地域でのケーススタディを通じて検討し,手引きとしてまとめた。今後,地方公共団体に手引きを配布することで「地震防災マップ」の普及を図っていくこととしている。

地震揺れやすさマップ(愛知県岡崎市でのケーススタディー例)
(2)津波ハザードマップ
 津波ハザードマップの作成率は,海岸線を有する991市町村中,12%(122市町村)にとどまっている。地震防災戦略では,今後5年間で津波防災対策が必要なすべての市町村において作成されることを具体目標に掲げた。その達成に向け,内閣府,農林水産省,国土交通省が連携して津波ハザードマップの作成支援のためのマニュアルを作成し,関係市町村に配布するなどしてその普及促進を図っている。

津波ハザードマップ作成状況



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