II.想定地震の断層パラメータ等2


II.想定地震の断層パラメータ
 
2
ミクロ的に見た断層パラメータ等について
   
(1)
小断層による断層の近似
  3次元的に複雑な曲面構造を持つ想定震源域を、気象庁によるプレート形状を参照して、0.1度間隔に配置した小断層で近似する。
(2)
走行、傾斜及びすべり角
  各セグメント毎に、西村地(1999)、Sagiya(1999)によるバックスリップベクトルのすべり角の水平成分に関する逆方向の平均値と一致するように与える。強震波形の計算の際には、乱数を用いて、すべり角に対して+−30度のゆらぎを与え、強震波形の計算結果が極端なものとならないよう対処する。
(3)
アスペリティの面積
  一般的に、内陸型に比べ海溝型の地震のアスペリティが大きい場合が多く、海溝型のアスペリティは、断層面積の20〜35%とする解析例がある。
アスペリティの面積は、このことを踏まえ、いくつかの値に対し強震動を試算し、過去の被害実態と比較し適切なものを選定する。
(4)
アスペリティのおき方
  各セグメント毎に1つないし2つのアスペリティをおいた2つの場合について試算する。なお、2つおく場合には、アスペリティの大きさが約7:3の比率(So merville et al.1999)となるように深部と浅部におく。大きい方のアスペリティは、プレートのカップリングがより大きいと考えられる深部側におく。
(5)
アスペリティ全体の地震モーメント(Moa)
  1)アスペリティ内のプレート間のカップリングレイトを1と仮定し、先の地震からの時間間隔に対応するプレート沈み込み量を平均変位量として、アスペリティの総面積から、Moa=μDSを用いて推定した値、2)震源域全体の地震モーメントとアスペリティ全体の地震モーメントとの経験的関係を参考に設定した値、に対し、過去の被害実態と比較する試算の中でより適切な値を選択する。
(6)
各アスペリティの地震モーメント(Moai)、変位量(Dai)及び応力降下量(⊿σai)量が一定であるとして各アスペリティの応力降下量と一定とする方式(応力降下量一定モデル)と、2)全体的に見て断層の変位量が一定として、各アスペリティの変位量を一定とする方式(変位量一定モデル)に加え、3)全震源領域の地震モーメントと全アスペリティの地震モーメントとの経験的関係、平均変位量とアスペリティの変位量との経験的関係などこれまでの解析で得られている経験的な関係を満たすようアスペリティの変位量、応力降下量を設定する新たな方式についても検討し、過去の被害実態と比較する試算の中で適切な方式を選定する。
(7)
アスペリティ以外の領域(背景領域)の地震モーメント(Mob)及び変位量(Db)
  想定震源全体の地震モーメント(Mo)から、アスペリティ全体の地震モーメント(Moa)を引いた値を背景領域の地震モーメント(Mob)とする。
この地震モーメントと背景領域の総面積(Sb)から、Mob=μDbSbの関係式を用いて背景領域の変位量を求める。
(8)
背景領域の応力降下量(⊿σb)
  背景領域の応力降下量は、次の関係式から求める。
⊿σb=2.5Mob/Sbi3/2
(9)
破壊開始店
  破壊開始点は、地震調査研究推進本部による検討で示された2ヶ所に加え、その他の場所についても試算し、過去の被害実態と比較する試算の中でより適切なものを選定する。
   
 

 
 
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