中央防災会議議事次第

阪神・淡路大震災が我々に残した教訓の一つは、大都市における大規模災害に対しては、現行制度の枠内での対応には明らかに限界があるということであろう。本委員会においては、再び阪神・淡路大震災の徹を踏まないためには、従来の枠組みに捕われず、発想を転換して新たな事態に備えることが必要であるとの問題意識を持ち、次のような検討を行った。
 先ず、住宅は単体としては個人資産であるが、阪神・淡路大震災のように大量な住宅が広域にわたって倒壊した場合には、地域社会の復興と深く結びついているため、地域にとってはある種の公共性を有しているものと考えられる。実際、被災者の住宅や生活の再建が速やかに行われれば、地域の経済活動が活性化し、その復興を促進することになる。
 地域社会の中核を形成する住宅所有者については、住民の生活の安定と地域コミュニティの維持、さらに地域社会の復興に資するという観点からその住宅再建に向けた努力が報われる支援を行うことが必要である。これまで、被災者の住宅再建は自助努力、公的支援、義援金によって行われてきた。しかしながら、阪神・淡路大震災においては多額の義援金が寄せられたにもかかわらず、被災者数が多く住宅再建資金としては十分ではなかった。また、高齢化社会における多数の高齢者の存在、大規模災害と地域経済力の低下に伴う長期失業者の存在、地域経済の崩壊に伴う世帯収入の減少等の要因により、被災者の自力再建(自助)には限界があり、さらに、公的支援にも一定の制限があることを考慮すると、共助の理念に基づく相互支援策を拡充することについて検討する必要があるものと考えられる。
 住民の早期の生活の安定と地域社会の復興を促進するためには、被災者が早い時期に住宅再建に取り組むことができるよう多様な支援のメニューを提示するとともに既存の住宅ストックの活用を図ることが有効であり、そのことが同時に、それ以前の過程、即ち、避難所等の避難生活の段階、応急仮設住宅等の仮住まいの段階をできるだけ短縮化することにつながる。
 また、これらの住宅再建支援については、迅速、公平且つ効率的に推進するとともに、被災地や被災者の状況に応じたきめ細かな配慮が必要である。
 さらに、大規模災害による住宅被害を減少させ、地域社会の崩壊を防ぐという観点からは、事前に災害に強いまちづくり、住宅づくりを行っておくことが必要である。
 従って、本委員会においては、大規模災害における住宅再建は恒久的な住宅を確保することを最終的な目標としつつも、支援の在り方を検討するに当たっては、これらの諸点を念頭におきつつ、平時、避難生活の段階、仮住まいの段階及び恒久的住宅を確保する段階にわたって総合的に検討したところである。

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