2. 富士川河口断層帯の調査結果と評価について


2. 富士川河口断層帯の調査結果と評価について
 
I.富士川河口断層帯の調査結果と評価
 

○最新の活動時期
 日本には過去千年以上にわたる古文書があり、この間、富士山の活動は記録されているが、この断層帯付近での大震災の発生を示唆する記録は見当たらない。
この断層帯は古くからの交通の動脈である東海道を横切っており、もしこれが活動していれば、地震に伴う広域被害や地殻変動に関する記録に残らないはずはないと考えられる。
また、安政東海地震の際に富士川河口域に出現した2つの地震山がこの断層帯南端部の変位を意味している可能性が大きいが、それ以北の内陸部では地震時の土地の変動などは知られておらず、安政東海地震がこの断層帯全体の活動であったとは考えられない。
 最近の調査では大宮断層と芝川断層のそれぞれ一箇所で最新の活動として約3千年前の断層活動を示唆する資料が得られた(大宮断層について、図−3)。
また、山崎ほか(1998)によると、最新活動時期は2100年前以降である。
 以上の歴史資料と野外資料とから、この断層帯の最新活動時期は約2千年前以降、1千年以上前であると判断した。

3-2.将来の活動について
<主文>
 これらのことから、この断層帯の次回の活動は、地震時の変位量が7m程度またはそれ以上、地震の規模でいうとマグニチュード8程度、震源域は駿河湾にまで及ぶと考えられる。また、その時期は今後数百年以内の比較的近い将来である可能性がある。

(注)ここでいうマグニチュード8程度とは、8.0+/-0.5を意味する。

<説明>
○断層活動に対する基本的な考え方
 日本の活断層はすべて、間欠的に活動すると考えられている。
その完結的な活動の様式については、活動の規模や活動の時間間隔がランダムであるとする考えと、活動間隔も活動規模も断層ごとにほぼ決まっているとする考え(固有地震説あるいは階段モデル)とがある。従来の研究から得られた活動間隔のデータを検討したところ、ある程度の規則性を考慮したほうがデータを良く説明するという予備的な結果が得られている。このため、後者の考えに立って地震発生の長期評価を行う。
 固有地震説にたつ場合、つまり、ひとつの断層帯(またはその部分区間)はぼ等しい時間間隔で、ほぼ等しい規模の地震を繰り返して発生させていると考えた場合、将来の地震発生の時期を評価するためには、その断層の平均活動間隔と最新活動時期の認定が重要である。例えば、その断層帯の平均活動間隔の年数と最新活動期から現在までの経過年数とが接近している場合には、次の活動時期が近いと判断される。
実際には、その活動間隔にも地震規模にもかなりのばらつきがあることを考慮して判断する。

 
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