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内閣府ホーム > 内閣府の政策 > 防災情報のページ > 防災対策制度 > 地震・津波対策 > 東海地震対策 > 中央防災会議 「東海地震に関する専門調査会」 > 2. 富士川河口断層帯の調査結果と評価について
○活動区間 マグニチュード8程度(あるいは1回の変位量が7m以上)の地震ではその震源域の範囲はこの断層帯の陸上で確認されている長さ(約20km)の数倍に及ぶと考えられる。 マグニチュードMあるいは1回の変位量Dと、その時の震源域の範囲(長さL)の間の経験式によるとM=8は長さ約80km、D=7m以上は長さ70km以上になる。これらのことから、活動区間(震源域)はこの断層帯(陸上部)だけにとどまらず駿河湾内まで延び、「東海地震」の想定震源域と大部分重なり合うと考えられる。活動区間が北方へ延びる可能性もあるが、この断層帯の北方延長部には断層変位地形が認められていないので、大きな変位速度を持つ断層は、北方には延びていないと推測できる。
○次の活動時期とその可能性 この断層帯に対する調査結果から、この断層帯の活動間隔は千数百年であり、最新活動時期以降現在までに、すでに千数百年が経過していると推定される。このことから、次の地震の発生の時期は(数千年以内ではなくて)数百年以内であると考えることができる。 しかし、上述の活動間隔の年数にも、最新活動時期以降の経過年数にも、その推定には数百年程度の不確かさが含まれている。また、これとは別に断層の活動自体にも数百年程度のばらつきがある可能性がある。そのような不確かさを考慮に入れて、主文では次回の活動時期について、数百年以内である「可能性がある」と表現した。 更に、主文では発生時期を「今後数百年以内の比較的近い将来」と述べたが、これは、単に「今後数百年以内」という表現では、つぎの大震災発生は数百年先であると受け取られがちであることを憂慮したためである。 なお、想定「東海地震」が発生した時に、この断層帯が同時に活動する可能性は否定できない。しかし、この断層帯と「東海地震」の平均活動間隔は、前者が後者の概ね10倍程度とかけはなれている。よって、想定「東海地震」が発生した時、この断層帯が必ず同時に活動するとは限らない。
4.今後に向けて 活断層調査資料は、現状では質、量とも必ずしも十分であるとは言えず、将来の活動を高い信頼度で評価するうえでも限界があり、今後、さらに調査研究を充実させる必要がある。
<注>松田による内陸活断層に関する経験式は次のとおり。 logD=0.6M-4 logL=0.6M-2.9 D=0.1 L ここで、log:常用対数 M :地震の規模(マグニチュード) D :断層運動による食い違い量(m) L :地表に現れた断層の長さ(km)