検索の使い方
内閣府ホーム > 内閣府の政策 > 防災情報のページ > 防災対策制度 > 地震・津波対策 > 東海地震対策 > 中央防災会議 「東海地震に関する専門調査会」 > 2. 富士川河口断層帯の調査結果と評価について
<説明> ○断層帯の構造上の位置づけ 富士川河口断層帯は静岡県東部の富士川の河口付近から富士山南西山麓にかけて、ほぼ南北に延びる長さ約20kmの断層帯である(図−1、2)。 この断層帯の東側には富士山の斜面に続く富士宮・岳南の低地があり、西側には浜石岳・天守山地等の第三系の山地があり、この断層帯が顕著な地形・地質境界を形成している。 また、大きな構造から見れば、フィリピン海プレートの北縁部に位置し、同プレートと西南日本を乗せた陸側のプレートとの境界をなす断層帯の一部である。
○平均変位速度 平均変位速度は、この断層帯の場合のように並走する断層からなる断層帯においては、両断層がいつも別々の時期に活動する場合には、両者の平均変位速度の和を用いるのが適当である。 しかし、両断層が同時に活動する場合には、いずれか顕著な方をもって代表させるのが適当である。 この断層帯では東列と西列がいずれも約3千年前に活動したので、両者が同時に活動する場合にあたる。 したがって、東列の平均変位速度(7m/千年)をもってこの断層帯の平均変位速度とする。 なお、この値は上下成分のみの値である。 このほかに横ずれ成分(走向方向に沿う水平成分)として左ずれ成分があると推定されており、それを考慮すると平均変位速度はさらに大きくなる。 富士川河口断層帯は、横ずれ成分を考慮しなくても、中央構造線断層帯(四国中央部における平均変位速度5〜10m/千年)、糸魚川−静岡構造線断層帯(牛伏寺断層における平均変位速度6〜9m/千年)などとともに、日本の内陸の活断層のなかでは最も活動的な断層帯の一つということができる。
○活動間隔 富士川河口断層帯の活動間隔としては、大宮断層の掘削地点で7000年より短いという資料(下川ほか、1996)が得られている。 また、入山瀬断層の断層崖下の崖錐堆積物に対するボーリング調査によって、千数百年程度であるという資料も得られている。 後者の資料では約6000年前以降、最大千数百年の間隔で少なくとも4回の大規模な崖錐形成時期が求められた。 この数は蒲原丘陵周辺での地震に伴う隆起によると思われる完新世段丘の数と一致し、形成年代が知られている2つの段丘とは時期も一致している(山崎ほか、1998;図−5〜7)。 このことから、入山瀬断層の活動間隔は最大千数百年程度と考えられている。 このことから、この断層帯の活動間隔を千数百年程度と判明した。