2. 地震動および津波を検討するための諸条件


 
2. 地震動および津波を検討するための諸条件
 
 マクロ的な断層パラメータについては、上記以外にも、破壊の伝播速度、破壊開始点を決める必要がある。そして、強振動の予測を行うには、これらマクロ的な断層パラメータ以外にも、アスペリティーの面積・個数、アスペリティーの幾何学的分布(一様に、或いは海側、陸側に分布させる等)などのミクロ的な断層パラメータの設定が重要であり、また、津波予測を行うには、想定震源域から海底面近くに達する浅部断層をどのように設定するかが重要となる。
 
1. 強震動予測
  以下の事項について検討が必要である。
   
a. セグメント分け:
   スラブの形状や地質構造の観点から、1)御前崎付近、2)日本平付近をそれぞれ境界として設定し、想定震源域内を単一の領域ではなく、3つの領域(セグメント)に分割する。
  1) 御前崎付近の境界の設定について
   フィリピン海プレートの形状は、御前崎付近をとおる北西—南東走向の線を境界として大きく変化している。
 この境界候補は、御前崎海脚〜牧ノ原台地よりも南の領域を区分するものである。
  2) 日本平付近の境界の設定について
   北石花海海堆〜日本平をとおる北西—南東走向の境界候補は、御前崎と日本平の間の領域と、富士川河口断層帯につながるほぼ南北方向の逆断層の領域を区分するものである。
   
b. アスペリティーのおき方:
  それぞれのセグメントに1つ(または2つ)のアスペリティーをおく。位置は松村の固着域の中心付近とする。 
   
c. アスペリティーの大きさ:
   推本地震調査委員会による「糸魚川-静岡構造線断層帯(北部・中部)を起震断層と想定した強震動評価手法(中間報告)」ではそれぞれのセグメント面積の約20%としているが、海溝型地震についても同様でよいのか検討が必要である。
   
(参考)
  1) Chi-Chi地震の解析例(Yagi and Kikuchi, 1999)
アスペリティの数は3〜4つでアスペリティの総面積は震源断層の総面積の20%程度。
  2) Michoacan地震の解析例(Mendoza and Hartzell, 1989)
強震動震源の数は3つで総面積は震源断層の総面積の35%程度となり、強震動震源の内部のアスペリティ(特に変位の大きいところ)の総面積は25%程度。
  3) 三陸はるか沖地震の解析例(Nakayama and Takeo, 1997)
アスペリティの数は2~3つでアスペリティの総面積は震源断層の総面積の15%程度。
  4) 三陸はるか沖地震の解析例(栗田, 1998)
アスペリティの数は3~4つでアスペリティの総面積は震源断層の総面積の15%程度。
  5) 北海道南西沖地震の解析例(Kekehi and Irikura, 1997)
アスペリティの数は3つでアスペリティの総面積は震源断層の総面積の35%程度。
  6) 北海道南西沖地震の解析例(橋本徹夫ほか)
アスペリティの数は2つでアスペリティの総面積は震源断層の総面積の22~27%程度。
  7) 北海道東方沖地震の解析例(Horikawa and Hirahara,)
アスペリティの数は3つでアスペリティの総面積は震源断層の総面積の32%程度。
   
d. 応力降下量:
   全体的な応力降下量が3.0 MPaとなるよう、個々のアスペリティー領域等の応力降下量を設定する。
   
e. すべり量:
   個々のアスペリティー領域等のすべり量の平均値が、全体的なすべり量となるよう設定する。なお、スリップベクトルについてはHeki & Miyazaki(2001,in print)による最新の研究成果も考慮し、全体的な強震動予測が矛盾なく行えるよう調整する。 
   
f. fmax、ライズタイム:
   地域特性、アスペリティーの大きさを考慮して設定する。
   
g. 破壊開始点:
  a、bの考え方でアスペリティーをおいた陸域の西端、中央付近、東端で破壊開始するとして、3通りを計算する。
 
前へ 】【一覧へ 】【次へ

 
 

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.