沈み込むプレートが陸側のプレートとカップリングしている最深部を境界とする。この深さは、最近の地震の震源分布から見て約30km程度と考えられている。また、深い領域における不安定すべりから安定すべりへの遷移は、温度が350〜450℃で起こり、これに相当する深さが約30kmとされている(Hyndman et al. 1997)。これらのことから、プレートがカップリングしている最深部は30kmとする。 沈み込むプレート上面の等深線については、Yamazaki et al.(1989)、Ishida(1992)、野口(1996)、原田ほか(1998)により示されている。浜名湖以東の領域における30kmの等深線は、Ishidaを除く3者はほぼ同じであるものの微妙に異なり、大きく湾曲している北側では、野口とYamazaki et al.が、その西側では、野口と原田ほかに一致が見られる。このことから、30kmの等深線は、これら両側に共通する野口の線に合わせ、湾曲の大きなところは、プレートの滑らかな沈み込みを意識し、深い方に滑らかな曲線で結んだ線を境界とする。
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東側(駿河湾)の浅部境界
沈み込んだプレートは、沈み込み直後の浅いところでは安定すべりが起こっており、深くなるにつれ不安定すべり、すなわちプレート間がカップリングするようになる。この深さは、Hyndman et al.(1997)によると、温度が100〜150℃となる約10kmに対応すると考えられている。 この領域に沈み込むプレートの10kmの等深線は、Ishida(1992)、野口(1996)、原田ほか(1998)により求められているが、最新の震源分布をもとに、気象庁、気象研究所及び野口で検討し、野口によるものを滑らかにしたものが妥当とされたので、それを採用し境界とする。