1. 東海地震の想定震源域について


 
1. 東海地震の想定震源域について
 
2. 検討の対象とする想定東海地震等について
   
 本調査会の検討の対象とする想定東海地震の震源域等及び想定東海地震と関連性があると指摘されている地震については、以下のような取り扱いとすべき。
(1)  歴史地震の調査結果によれば、駿河湾付近ではこれまで100から150年程度の間隔でマグニチュード8クラスの地震が発生しているが、1944年の東南海地震によってエネルギーの解放がなされなかった駿河湾及び駿河トラフ付近の領域においては、1854年の安政東海地震の発生後約150年が経過しており、いつ発生してもおかしくない状況にあり、十分な警戒が必要である。このため、今回の想定東海地震の震源域の見直しに当たっても、1944年の東南海地震の未破壊領域を想定震源域の基本とする。
(2)  東南海・南海地震については、今世紀前半にもその発生が指摘されているところであるが、その想定される被災範囲が広範なこと、甚大な津波災害の発生が予見されることなどから、別途直ちに地震発生メカニズムや想定される被害等についての検討を行い、早期にこれを踏まえた防災計画を確立し、着実に必要な対策を実施していく必要がある。直前予知については、現時点では困難であるが、新たな技術開発を含む一層の観測体制の整備やさらなる学術的知見の蓄積を行う必要がある。なお、今後、想定東海地震が発生しなかった場合には、想定東海地震と東南海・南海地震との同時発生の可能性も出てくるため、10年程度後にはこれらの関係についても再検討する必要がある。
(3)  富士川河口断層帯については、地震調査研究推進本部の検討で、「平均活動間隔は千数百年であり、次の地震の発生時期は数百年以内であると考えられる。想定東海地震が発生したときに、この断層帯が同時に活動する可能性は否定できないが、活動時期の推定の幅が大きく、次の想定東海地震と同時に活動するかどうかはわからない。また、活断層調査資料は現状では質・量とも必ずしも十分であるとはいえず、将来の活動を高い信頼度で評価する上でも限界がある」とされている。
 このため、富士川河口断層帯については、今回の想定東海地震と、同時発生するものとしてではなく、今後の知見の進展も踏まえ、別途必要な防災対策の検討を行う。
   
3. この20数年間の観測データの蓄積等から得られた知見
   
(1)  地震観測技術の向上及び観測網の充実により、高精度の微小地震データが得られるようになり、プレートの詳しい形状が明らかになってきた。また、固着域の存在が提唱されるなど、想定東海地震の発震機構に関する知見が得られてきた。
(2)  GPS観測の進展により、地殻の動きが広域かつ精緻に分かるようになってきた。これにより、地殻変動からみたプレート間のカップリングの状態が解析されるなど新たな知見が得られるようになってきた。
(3)  地震波形や津波データの解析技術の進展により、1944年東南海地震の震源域が詳細に推定できるようになってきた。
(4)  海域での地殻構造探査手法の進展により、駿河湾から遠州灘にかけての海底地殻構造の詳細が明らかになった。
(5)

 断層面での物理過程を取り入れたシミュレーション解析手法の進展により、プレート境界地震の発生に至るまでの地表変形や地中応力の変化を予測することが可能になってきた。

 
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