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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
津波に対抗する地域社会について
 

計画分野 4 − 情報の交換と調和
 情報の交換と調和に使用されるツールとしては、次のようなものがある:沿岸部管轄区域の間の接触、異なる統制組織の間のミーティング、防災器材や活動の便覧を作成したリソースセンター、ホームページの作成、津波ワークショップの開催、津波技術アドバイザーへのアクセス、米国津波予防プログラム(NTHMP)に加わっていない州や領土に対する活動。

 ハワイ州は、1994 年以前からこれらのほとんどを使ってきている。1994 年以前にも、カリフォルニアやアラスカでは、幾つかミーティングやワークショップが開かれていた。それに比べて、ワシントンとオレゴンではこれらのツールはほとんど使われていなかった。2000年には、5州全部とも多様な専門家を動員して教育やアドバイスを行い、津波情報を行き渡らせ、ホームページを立ち上げ、技術アドバイザーとして働くことのできる専門家との間に協力関係を打ち立てている。米国津波予防プログラム(NTHMP)は、この分野に関しては大変優れたものを持っており、これからもコミュニティに対して貢献を続けていくことができる。

 

計画分野 5 − 長期的防災計画(復旧計画を含む)
 この分野は、津波防災計画をどのように制度化していくかを示すものであり、次のような項目から成っている: 州と地元の津波対策グループ、州の津波防災計画、津波を全危険対応防災計画に組み込むこと、津波後の復旧計画、被害の想定、地元自治体の津波対策の支援、津波立法。

 ハワイでは、かなり古くから、州や地域に津波対策のグループや津波対応の防災計画が存在している。1994年には、他の州には正式な津波対策グループは存在しておらず、主として他の危険に焦点を当てていた。中には、1964年のアラスカ津波によって地域に被害が生じ死者も出たことから、津波対応の防災計画を持っているコミュニティもあった。2000年には、5つの州全部で、州の支援によって地域コミュニティに津波対策グループができあがり、地域の津波防災事業を押し進めている。いずれの州でも、津波対策は州レベルの他の防災計画と一緒に推進されている。オレゴン州では、津波防災事業が始まる前に、浸水危険域に設置される新設の重要施設についての立法化が行われており、ここで浸水マップが作成されていた。カリフォルニア州は、地域用の計画立案要領書を作成した。津波防災事業は、今後は、立法化、復旧指導、被害の想定に重点を置く必要がある。

複数の州による共同プロジェクト:
 州は一般に州内で各種の活動やプロジェクトを実施しながら、その結果を他の州と分かち合う。しばしば、多くの州が同じ基本ツールを取り入れて、それを自分の州の実情に合わせて調整して使っている。しかしながら、幾つかの州の間に共通 のニーズがあり、かなりのコストが必要となる場合は、それらの州が資金をプールしてプロジェクトの開発に当たることがある。その際は、どこかの州が先導的役割を果 たし、残りの州は、色々な仕事や見直し作業や最終的な承認に関して責任を分担する。

 そのようなプロジェクトの一つとして、津波情報(TsuInfo Alert)というニュースレターの発行がある。これは、津波やその研究に関する情報を、地域の危機管理担当者、役人、その他の津波防災関係者に提供するためのものである(Manson, C., Walking, L.)。このニュースレターは、毎月、津波危険性のあるコミュニティに送られて、津波に関する情報センターの役割を果 たしている。このニュースレターは数ページのもので、津波関連事業の最近の動向、過去の地震や津波に関する記事、よく出てくる質問とその回答、新しい津波関係資料の一覧表、開催予定の会議やイベントのリスト、ニュースのまとめ、インターネットの活用、図書館のビデオ予約用紙、州や連邦の連絡先など、津波に関する色々な情報が掲載されている。このニュースレターは、ワシントン州の天然資源局地質部(Washington State Department of Natural Resources, Division of Geology)が発行と管理を行っているもので、米国津波予防プログラム(NTHMP)に加わっている全部の州が、資金を提供して、地域コミュニティに配布している。1994年の時点では、このように有用な資料を活発にコミュニティに提供するリソースセンターは存在していなかった。2000年の今日、各地のコミュニティは、津波防災のための科学的基盤となる有用な資料や情報を継続的に得られるようになった。

 

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