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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
サンフランシスコ湾地域のHAZUS地震被害測定における官民パートナーシップについて
 

 連邦緊急事態管理庁(FEMA)は、HAZUSユーザグループの会員の前提条件として、積極的なボランティア活動とプロジェクトへの貢献を唱っているが、その一方で会員以外の者の受身的な参加も同じように受け入れている。連邦緊急事態管理庁(FEMA)のこのような姿勢は、会員以外の人の体験を共有することは、最終的に会員の利益となり、またHAZUSユーザグループの製品開発にも良い影響をもたらすだろうとの考え方がベースになっている。このような考え方は、戦略的目標を達成するためにボランティアの時間を使っている会長、副会長、会員達の間に育った指導者としての責任感から生まれている。プロジェクトの方針と仕事の内容がはっきりしてくると、同意を得るために委員会が設立された。受け身的な参加者の場合は、プロジェクト・コーディネータが用意した電子メール掲示板にブロードキャスト(データを送信)すること、また時折、本プロジェクトのウェブサイト(www.hazus.org)を訪れて、ブラウズ(さっと拾い読み)することに限定されている(図 8)。

 本プロジェクトがスタートしてから1年が経過した1999年には、60地区で開かれてきた地理情報システム(GIS)集団をターゲットにしたHAZUSユーザ・トレーニング・コースが完了した。四季集会が4回開催された後には、本プロジェクトは自然の成り行きとして4つに分かれ、それぞれの方向に展開した。この4つに分かれたプロジェクトはそれぞれが専門家委員会によってサポートされ、戦略的な計画によって方向づけされた。これらの4つの委員会は、それぞれが以下の4つの課題に関連のある戦略的目標を理解し、問題を解決することに力を注いだ:

1)データベースの管理
2)試験プロジェクトを介したユーザ・アプリケーション・ソフト
3)地震の後でHAZUS製品を送達するための危機管理プロトコル用のアプリケーション・ソフト
4)HAZUSシステムのマーケティング

 各委員会は、会員のなかには、さまざまな専門知識を有する人達が含まれており、また地域の地震被害測定に関心を抱いている行政機関および産業界からの代表者が含まれている(図 9)。

図 8 HAZUSユーザグループの1998年度プロジェクト戦略
図 9 HAZUSユーザグループの1999年度プロジェクト戦略

 1999年の後半には、HAZUSのユーザ集団をサポートするという問題に取り組むために、さらに2つのボランティア委員会が必要になった。まず現行のHAZUS試験プロジェクトおよびプロジェクト実施の成功例に関する情報をオンライン上で交換できるようにするためにウェブサイト委員会が設立された。続いて、カルフォルニア州に正式に登録された国立の非営利団体となるために非営利団体委員会が設立された。非営利団体委員会は、自発的に使命宣言書を作成、内規を定め、ボランティア理事会を設立した。このような行動は、国内の全ての地域でHAZUSシステムの使用をサポートできるようにするために、2000年までに国立非営利団体を設立することを意図したものであった。このように非営利の立場を保持することは、地域および地方の自然災害、被害評価プロジェクトのサポートに必要な資金が集め易くなるため、連邦緊急事態管理庁(FEMA)およびHAZUSユーザグループの双方にとって有利である。国立非営利HAZUSユーザグループは、HAZUSユーザ全員に組織的な援助と情報交換のサービスを提供するために、資金調達係兼プロジェクト・コーディネータの役割を果たしてくれるフルタイムの常務取締役を少なくても一人雇うことを計画しており、このために必要な資金を連邦緊急事態管理庁(FEMA)と、他のソースからの補助金に求めることになると思われる。HAZUSユーザグループの会員からは、専用の組織と後方支援は本プロジェクトの戦略的目標を達成するために必要であり、重要な手段であるとの考え方に同意するメッセージが寄せられている。

 

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