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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
サンフランシスコ湾地域のHAZUS地震被害測定における官民パートナーシップについて
 

HAZUSユーザグループの実施モデル
本プロジェクトのための前述
 
1994年のカルフォルニア州、ノースリッジに発生した地震の直後に、地震被害評価モデルの信頼度の高い試作品が初めて実施された。連邦緊急事態管理庁(FEMA)およびカルフォルニア緊急サービス局(Buika及び他(1998年)、Goltz及び他(1996年))は、このときに得たデータを災害の「対応(Response)」と「復旧(Recovery)」の目的に活用している。ノースリッジ地震から学んだ教訓が生きている環境において、1997年、危機管理分野での地理情報システムの出現と普及が加わり、連邦緊急事態管理庁(FEMA)は一般市場向けの最初のHAZUS地震ソフトウェアを発売した。同時に地方自治体、産業界、および事業団体との協力関係を築くことを目的にした、国がイニシアティブを取っている重要な「プロジェクトインパクト(Project Impact);耐災害社会の構築」をスタートさせている。このプロジェクトは、次の3つの原則に基づいている:

被害軽減のための活動は、地方自治体および市町村レベルで実行しなければならない。
ビジネス界は地域社会の構成要素である。
将来の自然災害を生き延びるために、被害軽減のための準備活動を、ビジネス界と地域社会が共同で実施しなければならない。

 このように、地方自治体とビジネス界の協力関係を促進することがそのまま、連邦政府と地方自治体の資金と補助金をてこ入れし、持続可能な災害軽減計画と被害削減活動を通して耐災害社会を築き上げるための重要な方法となる。1997年、連邦緊急事態管理庁(FEMA)は、サンフランシスコ湾岸地域内のオークランド、カルフォルニアを含む全国レベルのための試作モデルとして、7つのインパクト計画試験地域をスタートさせることに成功している。

 1997年のHAZUSの発売、そして連邦緊急事態管理庁(FEMA)が「プロジェクトインパクト(Project Impact)」共同体の設立に向けて努力していた時期に重なって、電子メールとインターネットの利用が爆発的に伸び、パソコンの処理速度が大幅に改善され、また危機管理分野における地理情報システムの使用が受け入れられた。

 連邦緊急事態管理庁(FEMA)は、次の6つの理由から、HAZUSシステムを試験的に実施する地域として、サンフランシスコ湾岸地域を選んだ:

自治体および産業界の管理職レベルが地震の脅威が高いことを認識している
ローマプリータ(Loma Preita) 地震の体験が広く浸透している
バークレー、スタンフォード、米国地図調査、カリフォルニア保全局、鉱山地質部、連邦緊急事態管理庁(FEMA)、およびカルフォルニア緊急サービス局に地震研究者が集中している
地理情報システム(GIS)技術者集団が存在する
将来の災害に対する準備を公共・民間が共同で実施している
プロジェクト対象区域内のオークランドに「プロジェクトインパクト(Project Impact)」の試験地区が存在する。サンフランシスコ湾岸地域には世界の最先端技術の中心地であるシリコンバレーがあり、ここでは多くの企業や行政機関が電子メーやインターネットを使った情報のやり取りに精通している。

 またカルフォルニアに焦点を合わせた2つの地震リスク削減計画の恩恵を受ける可能性も高い。その1つは、リアルタイムな地震計器を改善するための共同プロジェクトである「トリネット計画(The Tri-Net Project)」(www.trinet.org)であり、もう1つはプロジェクト対象区域内の「カルフォルニア地震災害マッピング法、1991(California Seismic Hazards Mapping Act of 1991)」の促進である。

図 6 「カルフォルニア州、サンフランシスコ湾岸地域のためのHAZUS地震被害測定機能」の開発に使用するプロジェクト状況報告書

 本プロジェクトがスタートした際、プロジェクトのビジョンである「耐震地域社会を築き上げるために11の州がさらに結束を固める」目標実現に向け、数百を数える郡の自治体と500万人の住民が100マイルにもなる長い境界線を越えて、互いに調整し合う必要があった。HAZUSユーザグループの意図は、連邦緊急事態管理庁(FEMA)が資金援助しているHAZUSトレーニング・コースおよび技術サポートを完全なものにするために、ユーザのためのサポートシステムを設け、全ユーザが各地域のデータベースとアプリケーション・プログラムの体験を共有できるようにすることにあった。ユーザグループの会員のこのような形の共同作業は、HAZUSの被害評価シナリオを使って「サンフランシスコ湾岸地域の地震被害測定機能」を開発することであった。そのためには、少なくてもHAZUSソフトウェアの体験とプロジェクトを共有すること、またHAZUSユーザグループの会員がデータを更新できる地域のデータベースを共有することが必要であった。このユーザグループの意図を実現するために、連邦緊急事態管理庁(FEMA)はプロジェクト・コーディネータを任命して、地震リスクを小さくすることに関心を寄せているリスク管理担当者と地震研究者を、HAZUSソフトウェアの実行とデータベースの管理に最も優れている地理情報システム(GIS)技術者にリンクする役割をゆだねた。またこの問題に関心を抱く人達全員に対して、民間企業、公益事業体、大学、国立研究所、非営利団体および地方自治体、州政府、連邦政府を代表するHAZUSユーザグループへの参加を促した。

 

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