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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
重要社会基盤に対する被害情報の収集システムについて
 

2.地震計ネットワークシステムの活用
 地震計ネットワークシステムの活用について、今後の構想も含めて、「地震発生時(本震直後の緊急対応期)」と「復旧時または平時」に分けて記述する。
(1)地震発生時
 活用構想を図-6に整理する。地震発生と同時に地震計の観測データ(SI値、最大加速度、計測震度相当値)が工事事務所経由で地方建設局に集約される。関係部局で必要な体制(体制確立は気象庁震度が基本で必要に応じて本システムの計測震度相当値を活用)がとられるとともに、各工事事務所において、点検基準(別添参照)に基づいて策定した方法で重要施設の点検を実施する。地方建設局においては、即時震害推計システムを稼働させて被害予測を行い、その結果に基づいて点検の優先性などを判断する。地震被害の予測結果は速やかに工事事務所等に配信され、点検活動に反映する。地方建設局で集約されたSI値、最大加速度、計測震度階相当値は、建設本省、土木研究所に配信される。
数値波形情報については、リアルタイムで土木研究所に送信する。土木研究所では、これらの情報に基づいて構造物の応答解析による被災原因の分析や復旧仕様の作成を速やかに行い、地方建設局、本省の震災復旧活動を支援する。

 なお、現状では、関東地方建設局を除いて、即時震害推計システムが導入されていないため、当面は各工事事務所において取得した観測データ(SI値、最大加速度)を使って、点検基準に基づいて策定した方法により点検を実施する。また、数値波形情報の回収についても、当面は、工事事務所等の地震計担当者が地震計から記録媒体を個別に回収して土木研究所に送付する。
(2)復旧時または平時
 活用構想を図-7に整理する。土木研究所において、被災施設復旧、新設に際しての構造設計や各種施設の設計基準の改定に数値波形情報を活用する。また、観測施設台帳と数値波形情報のデータベース化を随時図る。

 なお、地震計ネットワークシステムで得られた情報のうち地盤観測点のものについては、インターネット等を通じて防災関係者や一般へ速やかに公開できるように、また地震調査研究を目的としたデータ流通の一環として、各研究機関(大学を含む)に提供で るように検討を進める(図-8)。
(3)即時震害推計システム
 関東地方1都8県を対象に開発した即時震害推計システムを写真-1に示す。本システムでは、約100箇所の地震計の観測データ(最大加速度、SI値)を活用して、道路沿い約600箇所の液状化危険度と約400箇所の道路橋被害を推計する。

 液状化危険度と道路橋被害の推計例を図-9に示す。本システムによる地震被害の推計は、地盤振動分布の解析、液状化危険度の推計、道路橋被害の手順で行う。推計の基本的な考え方は以下の通りである。
1)地盤振動分布の解析(図-10):地震計の観測データ(最大加速度、SI値)から、液状化危険度と道路橋被害の推計を行う地点の地盤振動を解析する。
2)液状化危険度の推計:道路沿いの土質縦断図から土質構成がほぼ均一と考えられる道路区間をあらかじめ分割し、道路区間ごとの液状化危険度を最大加速度に基づいて推計する。
3)道路橋被害の推計(表-1):平常時の施設点検で蓄積された構造データを用いて、施設ごとの被災可能性をSI値に基づいて推計する。道路橋としての被災可能性の推計は、橋脚、基礎、支承などの主要部材の被災可能性を総合的に勘案することにより行う。

 上記の手順で推計された被災可能性は、"大(復旧に数週間を要する)"、"中(復旧に数日間を要する)"、"小(復旧に数時間を要する)"、"なし"の4段階で画面上に表示する。
推計計算に要する時間は約15分間であり、推計結果は施設点検の優先度の判定や、近隣部署からの応援体制の確立に関する意志決定に活用する。

 

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