jishin

EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
重要社会基盤に対する被害情報の収集システムについて
 
柳川城二
建設省河川局防災・海岸課災害対策室長
 

I. 建設省の役割
  日本の国土が、地震、風水害、土砂災害などの自然災害が絶えないという、厳しい自然条件にあるなかで、活力ある経済・社会活動を維持しつつ、豊かな社会を築いていくためには、将来にわたって、この条件を克服して、限られた国土を適正にマネジメント(整備、利用、保全)していくことが重要な国家的課題の一つとなっている。

  建設省は、このような認識の下、豊かな国民的生活と活力ある経済社会活動を幅広く支えるために、住宅・社会基盤の整備、都市計画・建築基準に関する基本的な制度の整備等を担っている。特に、全国の主要河川109水系や主要道路21,236kmについては、建設省が直接管理を行っている。建設省の組織を図-1に示す.

 

II.重要社会基盤に対する災害情報の収集システム - 地震計ネットワークシステムの活用 -
 戦後最大級の被害をもたらした平成7年阪神・淡路大震災の教訓の一つとして、地震直後における被災地域の特定や被災状況の把握が施設管理者、特に建設省のような重要社会基盤に責任を有する機関の初期対応において極めて重要なことが強く指摘されたところ
である。

 このような状況を受けて、建設省では、震災を含む災害の初期における情報の収集について、災害対策用ヘリコプターの活用方策をより機動的なものへと改めたり、あるいは施設管理を目的とした地震計を全国展開するなど、積極的な改善を行ってきた。本小論では、このような一連の取り組みのうちで、今後、重要社会基盤の維持管理のみならず、地震動現象の調査研究への寄与など、震災関連分野にも大きな貢献が期待できる地震計ネットワークシステムについて、その現状と今後の展望を紹介する。
1.地震計ネットワークシステムの整備目的と概要
 建設省の地震計ネットワークシステムは、地震直後の情報の少ない段階で、所管施設の点検の必要性や被災状況を予測評価するなど、初動体制における管理者の意思決定を支援することを目的にして整備された情報システムであり、初動時における効率的かつ適切な対応体制の確立に大きく寄与するものと期待される。

 地震計ネットワークシステムは、平成7年度から3ヶ年計画で整備され、現在全国で791点の観測点が稼働している(平成10年4月現在)。地震計は所管施設を中心にメッシュ状に配置され(図-2,3)、マイクロ回線等により観測データが収集される。(図-4)。観測データはリアルタイムで各地方建設局に集約される一方で、本省においては全国レベルでの地震動の状況が把握できるようになっている(図-5)。また、土木研究所においては、関東地方建設局と共同で液状化危険度と道路橋被害を地震後即時に予測する即時震害推計システム(2.(3)参照)を開発しており、現在試験運用を行っている。

 

前へ 】【一覧へ 】【次へ


所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.