jishin

EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
地震被害情報を効率的に収集するためのフレームワークの提案
 

3 Fire-D Net構想
 現在、消防庁が整備を進めている防災情報システム(データベースの整備とNTT回線によるデータ・入力、検索等)は、主に都道府県とのネットワークであるが、災害現場にもっとも密着した消防本部においてもっとも多くの情報を有すると考えられるので、消防本部を含めた市町村、都道府県、国を結ぶネットワークが必要である。

 また、災害現場から発生する情報は未整理で、その種類も多様であるため処理の方法には工夫がいる。

 このため、消防庁では1996〜1997年度にかけて「マルチメディアに対応した今後の防災情報通信ネットワークのあり方に関する調査検討委員会」を設置し検討を進めてきた。本研究会の報告書がまとめられたが、大雑把にこのネットワークのイメージを説明すると図6から図9に示すとおりである。

 図6は現状の通信ネットワークであり、電話・FAX中心の伝達網を表している。収集伝達できる情報量は限定されているとともに両端に人を介する必要があり、多段階の連絡経路となっていて情報網としては不十分であるといえよう。また、災害現場では、災害活動が主になり情報発信はどうしても手薄となる。

 災害の発生を早期に把握するためには、何とか災害が発生した旨を自動的に近隣の消防本部などに通報できないだろうかと考えたくなる。管轄の消防本部で処理できるような災害であればそのような必要はないが、大規模な災害の場合には是非実現したいものである。

 図7は大規模な災害活動が行われていることの情報を検知する方法として119番の通報状況、出動車両の数、震度情報などを活用し、自動的に隣接消防本部、都道府県、消防庁に通報するシステムを表している。これらの情報の伝達するネットワークとしてFire-D Net(仮称)を構築する必要があると考えている。

 近隣の消防本部等で大規模な災害が発生しているのではないかということを知ると、今度はその内容を知りたくなる。広域応援の必要性が高いと予想し応援態勢を整えるためには災害の種別やその状況、さらには管内の地理・水利等についても情報が必要となる。電話やFAXだけでは災害発生地の消防本部にアクセスが殺到し対応が困難となることは容易に予想できる。

 そこで図8に示すとおり収集された情報、あるいは事前にデータベース化された情報を消防本部及び都道府県に蓄積しておき、情報が必要な者はそのサーバにアクセスして情報をとることとすれば、あまり当該消防本部には負担をかけないのではないかと考えられる。ただ、災害現場の情報だけは当該消防本部によって情報端末等を活用して本部のサーバに蓄積する必要があるが、映像情報を地理情報等と組み合わせて送れるような仕組みにしておけば負担も比較的少なくなるのではないかと考える。

 必要な情報を得た隣接消防本部などでは応援態勢を事前に整えることができ、 援の要請が何らかの状況でできなくても的確に出動することも可能となる。図9はその流れを示している。

 このようにFire-D Netは広域応援体制をさらに強化することが可能となると期待できる。地震を想定した災害の時には、有線回線を使った通信網では回線が不通になることも考えなければならないため、バックアップとして無線系の回線を装備しておく必要があるが、これは衛星系の通信回線とすべきであろう。

 

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