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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
地震被害情報を効率的に収集するためのフレームワークの提案
 

4 横須賀市の事例
 横須賀市は、東京から約50㎞南の三浦半島に位置し、1923年関東地震において木造建物の全壊率が50%以上と極めて甚大な被害を被っており、また極近くにはA級の活断層がある。このような地震環境下にあって、大地震時には半島内の幾つかの地域が孤立する恐れがあることから、地震対策に力を注いできている。その中で、災害情報の収集・伝達・処理について、本稿で提案したフレームワークに沿ったシステムを構築してきているので紹介する。

 横須賀市は、1995年3月三浦半島地域の他の市町(鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町)、神奈川県、NTT等とともに三浦半島地域災害情報通信ネットワーク協議会を結成した。この協議会は、阪神・淡路大震災の教訓である情報伝達手段の確保及ぴ迅速かつ的確なコミュニケーションと情報共有を実現して、災害対応活動の円滑な実施を促進するとともに、地域住民に適宜適切な情報を提供し、安全を確保することを目的としている。

 協議会の具体的成果として、図10に示すネットワークシステム構想をまとめ、フィールド実験システムとして一部具現化を図っている。その一つは情報収集のための携帯型端末機で図2と同様のものである。1997年の災害対策本部の防災訓練において、携帯型端末機や情報処理ソフトを使用して、災害情報をリアルタイムに集約することを試みた。

 まず、情報収集班が災害現場に携帯型端末機を携行し、現場写真を含む調査データを対策本部に送る。対策本部ではこれらの情報を処理して、地図上に表示し災害対策の判断材料とする。またこれらの情報は、他の4地方公共団体においても通信ネットワークによって得ることができ、相互協力を可能としている。横須賀市ではこのような訓練を通して、携帯端末機の操作性、有効性の検証及び情報処理ソフトの使用方法の災害対策担当者による習得などがなされた。

 

5 今後の取り組み
 収集された情報が、実際の防災活動等に活用されなければ、情報としての価値はない。上述のようなハード、ソフト両面が充実されると、それは被害情報の早期把握という一面だけにとどまらない。実情報に基づいたりアルタイム延焼予測と消防力の効果的運用の判断、広域応援部隊の適正配備など公的防災組織活動の支援、応急時の防災情報や生活情報の住民への提供、マスメディア等の外部への情報提供や復旧・復興対策に有効活用できることになる。また、平常時の住民と行政間のコミュニケーションの円滑化にも寄与するところ大となるであろう。今後は、被害情報の効率的収集のためのフレームワークの具現化を更に進め、その有用性、実効性の検証を行っていくとともに、得られた情報を住民の安全と安心確保のために活用するシステムを構築していく必要がある。

(連絡先略)

 

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