jishin

EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
地域レベルにおける地震被害想定モデルの利用法
 
リチャード・アイズナー
(Richard K. Eisner)
FAIA沿岸地域アドミニストレータ—
カリフォルニア政府応急サービス事務局
 

地震損害想定の流れ
 今後の地震の被害想定は、各選挙区に地震被害の脅威から防災軽減体制を敷く上で重要な役割を果たしてきた。1970年から1980年代早期にかけてスタインブルガーら(Steinbrugger et al.)により開発された、初期型被害想定では対象推測は被害損害額、死亡者数に焦点が置かれている。1980年には、都市地震災害の複雑性を対象としたそれまでの記録的な地震の再帰データを基に8件の地震想定(Steinbrugger, Lagorio et al.)が行われた。これらの想定の目標は、応急計画の基礎を提供し、被害軽減及びコミュニティ防災対策意識を啓発することにある。これらは不可欠な要素であると同時にその算出にはコストがかかり、長く、労働集約的な作業を伴う。

 

コンピュータベース損害想定ツールの使用
 コンピュータベースの地震被害想定手法が連邦緊急事態管理庁(FEMA)により開発され、各州と地域の応急管理者は対策時の融通と利便が図れるようになった。被害シナリオ及び確率に基づく被害想定を推計する標準手法を提供するために、HAZUS(Hazards United States)が開発された。HAZUSはその使いやすさにより、従来のアプローチ法と比較して数々の利点がある。その一つに、地域の詳細地質情報をデジタル化してデータもしくは画像に取り込むことができ、より精度の高いゆれのモデルを作成することが可能である。二番目はソフトのインストールされたデータベースは、各地域・州の応急管理者に人口情報、病院・橋梁等のインベントリ、及びより一般的な建物インベントリを提供する。被害想定ソフトは地理情報システム(GIS)ディスプレイ及びマッピング・ツールと統合して使用すると、地元、地域、州の各管理者に従来までは利用ができなかったような地震災害の総合的かつ精密な再現を可能とする。

 カリフォルニア政府応急サービス事務局では北カリフォルニア地域の危機管理及び被害軽減活動の支援のために1996年から1998年までの間HAZUSソフトのプロトタイプ及びベータ版が使用されていた。その活動は以下のとおりである。

・ カスケーディア沈み込み帯の南部セクションにおける地震時の交通施設、ゆれ(PGA及びPGV)を含む被害推計、被災者数・建物倒壊件数推計の開発。本推計により地域のシナリオが更新され、地域・州応急対応計画及び地域交通計画の実施が行われた。
・ 地域の地質を調査し、ゆれの振幅を予知するパークフィールド地震の影響を再評価した。
・ ヘイワード断層北セグメントで地震発生時のサンフランシスコ及びイーストベイの住宅倒壊件数推計。推計には避難者数を含み、地域応急管理団体アメリカ赤十字及びアメリカ建築協会(American Institute of Architects)の避難所、仮設住宅敷設、住宅再建スキームの開発に用いられた。
・ HAZUSソフトを用いたPGAとPGVのゆれ震度予測を行い、バークレー市の応急運営施設用の代替サイトの評価の支援に用いられた。地域被害予測及び交通施設への被害推計は地震情報公開ハウス(Earthquake Information Clearinghouse)設立に用いられた。
・ 政府応急サービス地域応急運営(REOC)GIS対応政策決定支援ツールの一環としてのHAZUSの統合化。発災で影響を受けたコミュニティーからの被害アセスメントの発表よりもかなり早く、数時間でHAZUSにより被害、避難所・仮設住宅の必要数、被災者数、交通及び公益サービスの破壊等の程度・状況の推計ができるようになる。
・ HAZUSデータベースは最近のエルニーニョ現象による食料難民の性質(言語、収入レベル)の同定に既に使用されている。
・ HAZUSのOES沿岸地域プログラムはオークランド市安全/影響プロジェクトの企画・被害軽減の支援に用いられた。
・ GISは地震の程度と食糧事情、また火災・地すべりとの相関関係の認知に役立つ

 

前へ 】【一覧へ 】【次へ


所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.