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地震被害額推定の利用法 地震被害額推定の利用法にもいろいろある。緊急対処は最も重要なやり方のひとつである。消防局、警察、緊急サービス会社が使っているのはこの方法である。消防局は街の一部の地区で給水不能(地面が軟弱化してパイプラインが損傷したり、パイプが通っている橋が壊れたりして)となるシナリオを持っていて、地震で実際にそれに遭遇したときには、その地区の給水をどうやって行うか工夫することが出来る。
災害を限定する方法は、自発的な民間ベースのものであれ、法律で強制されるものであれ、どんな種類の建物が一番地震被害を大きくするかを想定して行う必要がある。地震被害は安全に関するものであるか(カルフォルニア州法では「安全」はすべての基本であり、このため各地方政府に対し補強を施していないすべての石造建築物の一覧表を作成し、なんらかの災害限定方法を採ることを求めている)、あるいは財産に関するものであるか(企業の建物の改良は一般的にはこの財産の保全が動機となって行われる)、もしくは機能に関するものである(これが州内の病院の耐震構造改善を定めたカルフォルニア州法SB 1954主たる理由である)。
災害の復旧は地震後にしか始められないが、復旧計画は地震が起こる前に立てられる。地震被害研究により地震後の家屋の損失を予測すれば、一時的な住宅を予め決めた空き地に配置する立案は可能である。
表1 FEMA-NIBUS HAZUS プロジェクトの初期に作成された報告書「被害額推定の目的」(Loss Estimation Objectives) における12枚の表の1つは、被害額推定とその利用法が如何に合理的に関連しているかを示している。
FEMA-NIBUS HAZUSの方法 連邦緊急事態管理庁(The Federal Emergency Management Agency:FEMA)は1993年に地震被害額推定方法の標準化を図り、特定の都市や地域レベルでの利用と、全国ベースでの地震リスクを比較する事業に着手した。そこでできたソフトウエアの名前がHAZUSで、FEMAは最近になって米国建築学会を発足させ、この事業に地震以外の自然災害をも包括させた。パイロット・プロジェクトの段階でオレゴン州ポートランド、マサチューセッツ州ボストンでの地震被害がHAZUSを使用して研究され、実際に起こった1906年のサンフランシスコ地震、1886年のチャールストン地震、1987年のウィティヤー地震、1994年のノースリッジ地震を追試する研究も行われた。最近ではHAZUSソフトウェアを使って、災害や財産の被害を受けるリスクを米国の50州の間で比較する研究が始まっている。地震被害額推定方法の詳細はHAZUSの技術マニュアルに記載されているが、本稿では地震専門家の援助がHAZUSの使用には必要であることを銘記したい。専門外の人がHAZUS上で条件を選び、重要な情報を入力し損なうとあり得ない結果が出ることもある。
図1は米国内で地域規模の地震被害額推定研究が行われた場所を示している。研究は1970年初期に連邦政府がカール・スタインブルグ (Karl Steinbrugge)、S.T アルジェミセン (S.T. Algermissen) らにより開始されたときに溯る。周知の通り、多くの都市地域が少なくとも一度は研究され、いくつかは二度以上研究されている。このように我々には米国内で25年前から地震被害額推定の研究を行ってきた歴史と経験があり、当然ながらこれらの研究をどのように利用するかについての経験も積んでいる。
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