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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
地震被害想定 − 国内の見通し
 

今後の活動
複数災害被害想定
 
FEMA及びNIBSは現在、複数の災害被害想定手法の実現のために、HAZUSの機能向上を行っている。洪水及び風害被害モジュールは開発中であり、向こう2年以内にHAZUSに統合化される。これら2つのモジュール開発の監督のために、洪水・風害対策委員会が設立された。各委員会は、両分野に見識と専門性を備えた委員から構成される。風害対策委員会は9人の委員から構成され、ミズーリ州立大学ローラ校Joseph Minor博士を議長とする。一方、洪水対策委員会は11人の委員から構成され、Kimley-Horn and Associates社のDouglas Plasencia氏を議長とする。これらのモジュール開発における決定的な要素は、全処理期間中を通してユーザーに入力データを提供することにある。ユーザー・ワークショップは、両モジュールに対して開催が予定されている。会合には、危機管理者、洪水域管理者、州・地域代表を含む多様の潜在的なユーザーが出席することになる。ワークショップの結果はユーザー側要求報告書にまとめられ、潜在ユーザーのニーズに応えられるような端末商品を開発するように開発陣に配布される。

 

国際被害想定
 
日米のコモン・アジェンダ(地球的展望に立った協力のための共通課題)により、リアルタイム地震情報システム及び地震被害想定手法が、第1回日米地震防災政策会議の議題として取り上げられた。風害及び地震影響に関する日米パネル会議の一環として、地震情報システム作業部会の設立は、両国の研究者、政策決定者の協力を促すものとなる。また作業部会は、共通議事録への技術支援の提供を行い、地震情報システム、地震被害想定、地理空間・地形情報システム及び早期地震注意報システムに伴うデータシステムや手法の同定、開発、及びレビューを行うフォーラムとしての役割を果たす。

 

結論
 
合衆国におけるHAZUSの導入は、連邦、州、地域レベルでの地震及び他の災害被害想定への関心や活動意欲を掻き立てた。本研究によって開発された年次被害手法は、地震危機管理政策の採択の基礎となる合理的な政策決定を示す。危険地域を特定するための全国統一危険度順位付けスキームに加えて、年次被害及び被害率の推計により、被害軽減戦略への便益性の評価手段が提供される。同手法はまた、世界中の自然災害の危険度との比較により、他の自然災害に対する地域的な危険度アセスメントにまで適用性が広いという性格を持っている。危険度アセスメント及び被害想定により、未来へ向けて、より安全なコミュニティの実現のための国際協力及びパートナーシップが育まれる。

 

参考文献
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● 国立建築学研究所、1997b、「HAZUS97ユーザーマニュアル」Washington DC
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