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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
地震被害想定 − 国内の見通し
 

国家地震危険度分析
 
米国地質学会及び国家地震災害軽減計画の努力により、全米各地で地震災害に関する詳細データの利用が可能となった。しかし、危険度ベースの地震対策及び被害軽減に用いる対応の危険度地図はほとんど利用できないのが実状である。危険度への一般認識の大半は、特定の災害に基づく想定及び特定地域における被害推計調査の利用による財産損害、保険損害、被災者状況に限られている(1989年NRC、1994年NIBS)。米国には最近まで、全国統一の地震被害想定手法が存在しなかった。標準化された手法なしには、各地域間の被害・損害レベルの比較は不可能である。この格差是正の手助けとして、FEMAはNIBSとともに、HAZUS(国の一貫した建物財産目録、及び米国地質学会による地震危険度地図の新規作成)に基づく、新規危険度分析手法を共同開発した。同研究の分析結果は人口センサスのレベルで、その最終結果は比較調査目的のために国家・州レベルへ伝えられる。

 分析による直接的経済損失には、一般建築物(居住用、商用、産業用)及び基幹施設(学校、病院、応急)に対する資本損失(構造、非構造、コンテンツ、財産)及び、損失額(移転費、賃金損失、レンタル額損失)が含まれる。被害は8つの回帰点(100、250、500、750、1000、1500、2000、2500年)にて算出され、統合化を行い平均年次被害(AAL)を計算する。AALは地震被害軽減戦略の評価・開発の決定基準として新規に導入された。直接的被害は、年次被害率の観点からインベントリ値(%)として報告され、人口センサス、都市、カウンティー、州等の地理・行政単位にわたり相対危険度が比較される。

 全国土で起きた地震によるAALは、推定でおよそ44億米ドルにのぼる。この推定額は過去20年に起こった河川洪水AALの43億米ドル(1998年USACE)、ハリケーンによるAAL30億米ドル(1998年NOAA)にほぼ匹敵する。地震被害の多数(87%)は合衆国西部で発生し、そのうちの76%(33億米ドル)はカリフォルニア州に集中している。この高い集中率は、州の高い経済歳出と地震災害の発生周期と一致している。比較によれば、1971〜1994年までに報告されたカリフォルニア州での実質上の地震被害額は、年平均で14億米ドルであった(1993年Stover及びCoffman、1998年Toppozadaとの対話)。全AAL額中8%(3億5千万米ドル)は、ワシントン州及びオレゴン州であり、合衆国中部・東部が残りの13%(6億米ドル)を占める。ただしこの推計にはアラスカ州、ハワイ州、及びプエルトリコの損害額、また社会資本への損害額、ライフラインや他の基幹施設への損害額は含まれていない。現在これらの地域の分析が行なわれており、近いうちに推計に含む予定である。

 
 

プロジェクト効果
 FEMAの防災コミュニティ主導のプロジェクト効果は、より安全なコミュニティの構築のために4段階から構成される手法を使用する − パートナーシップの結成、危険度のアセスメント、被害軽減項目の優先順位付け、及び対象コミュニティとの連絡、である。自然災害に対するコミュニティーの危険度の検討及び危険に対する脆弱性の調査が、被害軽減の成功への鍵となる。HAZUSインベントリ(財産目録)・データは、対象コミュニティをプロジェクト効果コミュニティへと変換させるために、地震、洪水、風害、火災等を含む、異なる災害の分析に用いられている。HAZUSの被害想定手法はまた、地震危険度の高い地域での被害想定に用いられている。地震の被害影響が大と見られるプロジェクト効果コミュニティーは、カリフォルニア州オークランド市及びワシントン州シアトル市である。

 シアトル市コミュニティーでは、4種類の地震想定により潜在被害が推計された。そのうちの1つは、1965年のマグニチュード6.5地震の再発及び同規模の地震を500、1000、2500年間隔で起こったものと想定する。これらの分析結果によれば、近年の大地震となった1965年規模の地震が今後シアトル市に発生しても、被害は当時に比べてかなり少ないことが予測される。

 他の自然災害についても、災害階層付のHAZUS財産目録と、経済損失と潜在的な被害を概算するGIS機能を併用すれば調査することが可能である。この複数災害のデータ・レイヤーは、HAZUSの補完CD-ROMとして利用することができる。さらにFEMAは、各プロジェクト影響コミュニティーが施設の被害軽減計画用の地震危険度ベースライン分析を行えるように、HAZUSソフトとその支援ツールの提供を計画している。

 

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