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-6-結果の公表等による啓発 「被害想定」の実施経緯でも述べたように、被害想定結果の公表については古くから、被害の大きさばかりがとりあげられ、人心を混乱させる事態が発生し若しくは懸念されてきた。こうした混乱は当然に避けられなければならないが、地震の危険性を分かりやすく提示し、個々人、地域コミュニティ、企業等における自主的な地震への備えを誘導するために「被害想定」等を通じ地域の危険度を公表することは、極めて有意義な地震対策の施策手法と考えられる。
平成10年3月に公表された東京都の「地域危険度」は、地域住民に不安感をもたらしたり地価の下落を招くなどとして一部住民からの反発等もあったが、概ね有用な情報として受け止められており、近年では住民の冷静な対応が期待できる状況になってきていることが伺われる。
こうした危険情報の公表を前向きに捉えた対応を求めるには、被害想定や地域危険度の前提や根拠を明示するとともに、住民等における危険への対処方法や、行政における対応策を併せて周知することが望ましいなど、公表に関する政策技術が求められ、今後その一層の検討、確立が求められている。
4.「被害想定」の今後の課題と情報交流への期待 ・ 被害想定技術の向上 本政策会議においては、被害想定手法については、その政策的な活用方策等を主たる検討課題とするものと考えるが、被害想定を今後さらに充実、活用していくにあたっては、その手法における理学的、工学的な検討とも連携して進められる必要がある。 特に、地震動推計における距離減衰式や、既設の施設・構造物の被害に影響の大きい地震動の成分(加速度、速度、周期等)の分析などについては、想定結果に大きな影響を及ぼすものであり、一層の研究が期待される。
今後、UJNR等における研究交流とも情報交換しつつ、また、HAZUS等において採用されている手法等も含め、本フォーラムに有効な情報交流が進むことが期待される。
・ データベースの充実・整備 想定の精度を向上するには、データを充実する必要があり、特に、地盤・地質の情報の共有、建設年度別・構造別等の施設・構造物の分布状況の定期的把握、被災後の計画的な調査による各種の施策の評価などが重要となる。地盤・地質については、現在、公共事業等によって把握された地盤情報等を集約し共有化できるような体制整備の検討が進められつつあるが、後2者については必ずしも制度化されていない。
被害率等は、施設・構造物のつくられ方や地形・地盤の性状などが地域固有であることから、そのまま日米において交換できる情報ではないが、今後、地震対策に必要なデータの収集方策、被災時の検証による被災前における地震対策の評価方策等のあり方について一層の情報交流が期待される。
・ 「被害想定」の一層の活用 我が国においては、阪神・淡路大震災以降、急速に「被害想定」が普及し、備蓄計画等に活用されてきているが、前述したように予防対策、応急対策、復旧・復興対策等、地震において活用可能性がありながら、未だ十分に生かされていない分野も少なくない。このため、都道府県の地域防災計画や国の防災計画も、対策の量的な効果や、時系列的な被害の態様などを踏まえた計画作成が十分に進められていない。
今後、特に、被害想定技術により把握される地震発生後の被害推計情報をもとにした防災体制の整備や、訓練等に活用する動的な被害想定手法等について、活用事例等を含め、さらに情報交換を行うことが期待される。
・ 被害想定結果の公表方策に関する検討の推進 地震危険情報を、被害想定結果や地域危険度(ハザードマップ)等により公表するにあたって、住民や企業等における自主的な対策の推進に結びつく有効な公開手法を確立することが求められている。住民への周知のあり方や、マスコミにケーションにおける報道など、こうした分野における、施策実例等の情報交流が期待される。
(以上)
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