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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
日本の震災対策における「地震被害想定」の活用について
 

-3- 震源からの距離、地形・地盤による増幅等を考慮した地震動分布の推計
 国土庁マニュアルでは、想定地域の地震動の分布は、地盤を基準地盤と表層地盤に分け、基準地盤における地震動を距離で減衰させた各地点の基盤地震動に、表層地盤の性状による増幅を考慮して各地点の地表の地震動を推計する手法をとっている。

 距離減衰については、国土庁マニュアルでは、基準地盤の最大速度を、マグニチュードと距離のlogを用いた関数で減衰させる計算式を採用してしているが、マニュアルの利用者に対しては、計算結果を一覧表にとして表示することで、表の数値を用いた加減乗除のみで計算できるよう便宜を図っている。増幅率については、埋め立て地などでは大きく、標高の高い台地などでは小さくするなど地形、標高に応じ、基準地盤の最大速度の1.1〜2.3倍に地表最大速度が増幅されるというテーブルを示している。

-4- 既往地震等から得た被害率による地震動に応じた被害の推計
 我が国において、実際の地震経験から諸被害の発生率を推定することに妥当性の認められる近現代の都市における被害地震は少なく、この50年をとっても、福井地震、新潟地震、十勝沖地震、宮城沖地震及び兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)などがあるだけである。

 阪神・淡路大震災は、発災時間が早朝であったこと、発災時に風があまり無かったこと、六甲山地と瀬戸内海に挟まれた細長い土地条件であったことなど、これと異なる条件下での震災にそのまま適用し難い被害状況もあるものの、施設・構造物の損壊などの被害をはじめ現代都市における大地震の被害について多様な記録を残した。

 「被害想定」では、こうした被害の発生状況と地震動の大きさとの相関をとって算出する被害率等と、想定する地域の地震動推計を併せて被害を推計する。

 被害率は、直接地震動と被害の相関をとる場合と、地震動により生じる施設の被害と死傷者の発生の相関をとるというように、因果関係を追ったロジックとする場合などがある。

 また、経験式によって求められない事項については、実験や計算による理論式等によって補完されるが、最近では実大実験ができる3次元震動台等の整備やそれによる研究が進められており成果の反映が期待されている。

(2)地域危険度(ハザードマップ)
 我が国においては、河川の氾濫による浸水区域、津波浸水区域、急傾斜地(がけ地)の崩壊危険区域、火山災害などにおいて、被害を想定し危険区域を示すハザードマップ等がつくられている。地震についても、液状化の危険区域、地震による同時多発火災を想定した延焼危険区域、建築物の倒壊危険区域など、地盤や市街地の客観的状況から被害の発生を想定し、「地震危険度」を明らかにすることが行われている。

 国土庁では、液状化の発生危険性を地形等から判断し、液状化危険度マップを作成するための指針の検討を進めてきており、すでに日本の震度階で5程度の地震を対象とした指針を1994年に公表しているが、現在、阪神・淡路大震災のような強い地震動の影響の検証を加え指針の見直し作業を行っているところである(平成10年度中に公表予定)。

 また、最近では、東京都において、町丁目(約5〜10ha)ごとに、火災危険度、建築物倒壊危険度、避難危険度等を示す地域危険度を調査し、公表している(平成10年3月)。
 これらは、地盤の悪さ、建築密度、道路・公園等の整備状況、建築物の老朽度・不燃化の状況、避難場所への距離などの市街地の状況をもとに、被害を想定し危険度を推計している。

 

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