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TriNet「シェイクマップ」:南カリフォルニア地域における地震発生時の最大地震動地図及び震度地図の迅速な再現
 
wald
図1 南カリフォルニア地域TriNet観測所現況分布地図。CDMG観測所の位置は四角記号、USGS/Caltech観測所は三角記号で表される。色分け部分は凡例に示されたように、それぞれ第四期地層、第三期地層、及び中生期地層を表す。
 

 南カリフォルニア地域のTriNet地震観測所の現況分布を図1に示す。USGS/Caltech観測所(三角記号で表示)では多様なデジタル地震計測手法をもちいてデータがリアルタイムで提供される(詳細は1998年Mori他を参照)。電話回線を使って開発された自動ダイアルアップもちいた、カリフォルニア州鉱物・地質課(CDMG)観測所(四角記号で表示)のデータは準リアルタイムで提供される。1998年8月現在では、80基のUSGS/Caltechリアルタイム観測所がオンライン化されており、ほぼ100基のCDMGダイアルアップ観測所が存在する。向こう3年でTriNet強地震動の観測所の総数はおよそ670基となる見込みである。「シェイクマップ」の再現は、USGS/Caltech共同運営の南カリフォルニア地震ネットワーク(SCSN)との接続により、地震発生後自動的に行なわれる。ゆれ後1分以内にUSGS/Caltechネットワークの構成種目から地震動パラメータが入手でき、数分以内で震源付近の重要CDMG観測所の大半からも入手できる。発災30分以内には、ほぼ完全なデータをCDMGから入手できる。図の初期画像はTriNetのリアルタイム構成種目によってのみ作成されるが、データの獲得が進行すると自動的に更新される。

 図2は、カリフォルニア州ライトウッド市(ロサンジェルス市の北東訳60km)付近で1998年8月20日に発生したマグニチュード4.4の地震の最大加速度地図を例示する。筆者らの「シェイクマップ」作成以来、対象地域は大規模な地震に見舞われていないがその手順は大地震にも応用できる。図3では、「シェイクマップ」による大規模地震の再現情報の特徴を図示するために、1994年のマグニチュード6.6のノースリッジ地震において記録された最大速度分布地図(等高線:cm/秒)をあげた。この例では、地震動データは既設アナログネットワークから獲得され(CDMG、USGS、南カリフォルニア大学、南カリフォルニア・エジソン社、ロサンジェルス市水道・電力公社)、ノースリッジ地震後に現在のTriNetデジタル機器配備が行なわれた。

 
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図2 加速率(g)の等高線で表された、1998年8月20日マグニチュード4.4のライトウッド地震における最大加速度を示す地図。三角の記号は観測所を表し、濃い線はフリーウェイ、薄い影部分は断層を表す。黒星印は震央、白星は強いゆれ「セントロイド」を表す。白丸は「ファントム」グリッド観測所の位置を示す。
 
 

 筆者らは最大地震動図から地震動震度を推計して、人目で分かるようなゆれの性質を地図で再現する意向がある。ゆれのパターン及び地震被害の程度の定量化手法として従来から世界中で「震度」が用いられている。今日の近代的な地震計測機器の登場にもかかわらず、「震度」は、複雑な記録データを簡明に表す効果的な手段としてもちいられている。こうした簡易化は、空間的に複雑なゆれに関連する周波関数、継続期間、振幅などの微妙な差異に疎い者にとり、総合的な状況判断として必要であるが、単に震度のみでは被害推計に十分とは言えず、これらの分析にはスペクトル対応により、必要な物理的基礎条件が与えられる。「シェイクマップ」によりスペクトル反応図(0.3、1.0、3.0秒)も提供されるが、日本の例のように多数のユーザーにとり、震度図の方がより直感的であるので、より情報として適している。  

 

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