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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
公益企業による地震後のデータ及び情報の迅速な利用
 

設備の被害確率の迅速な評価
 
前述したように、公益企業の職員が地震発生後ただちに入手したい情報は、公益施設(変電所、ポンプ設備など)、オフィスビル、ビル内の修理装置、スペアパーツの被害状況である。多くの設備や建物では特に夜間あるいは週末に人がいなくなるのは通常のことなので、現場の職員はすぐに検査はできないかもしれない。職員が現場にいる場合も、最初はけがや目前の安全問題で手いっぱいであるかもしれない。設備や建物に置かれた強震動計は遠隔からの被害確率評価を行う手段となる。設備の自由欄(free-field)の記録を利用して、地震動を現場の装置や構造物について以前に測定した脆弱曲線(fragility curves)と比較することができる。この比較には、被災地域の現場からのデータ伝送の時間もみておくと、地震が発生してから約10分〜15分かかる。脆弱曲線は指定された被害状況(例えば、変圧器の磁器の破損、建物への侵入制限)に関する地震動パラメータの関数として被害の確率を示す。利用できる脆弱曲線が不確実であるため、これは今のところは概算方法であるが、数時間後に行われるかもしれない現場検査に先だって、公益企業の現場の被害状況を有効に評価する最初のものである。

 詳細な地震動の等高線図は、公益企業を含む多くの公的・私的情報源が提供する強震動データを含めて作成できる。強震動計を持たない公益企業の現場について、地震動の推定値はそれらの地図から得られる。それら推定値は被害確率を評価するための脆弱性の比較に利用できる。この方法は、現場の地震動の正確な推定値を提供するために、入力である十分な地震動の観察結果を備える地図を用意できるかどうかにかかっている。

 公益施設に強震動計を設置することによって、地震からの地震動データが将来の地震の強震動にさらされる装置や建物の脆弱関数を厳選するために使うことができるという意味で、価値のある新たな利点が提供される。現場の地震動の記録とともに、設備あるいは装置の被害の特徴を被害のなかったものと一緒に正確にまとめることが極めて重要である。

 

輸送システム及び顧客の建物の被害確率評価
 
輸送ルート(例えば、高速道路、橋、陸橋)に関する強震動ベースの被害評価は、報告された被害及び中断とともに、検査及び修理要員を重要な設備までどのように行かせるかという公益企業の計画に役立つ。さらに、商用、産業用、住宅用建物の被害確率評価は、公益企業・サービス機関が安全と二次災害の脅威に迅速に対応する必要があるかもしれない場所を示す。

 

地震後の建物入居検査
 
公益企業、医療提供者、その他、重要な地震後の緊急対応機能を備える機関は、特定の占有建物又は非常に重要な情報や装置を抱える建物が公認の建物検査員によって閉鎖されるか、脅威を感じた従業員(その一部は地震後の対応に重大な役割を持つ)が避難してしまう可能性があることを認めた。この問題に対処するために、地震後検査プログラムを確立し、重要な建物へのアクセス及び利用を容易にした組織もある(マツダ他、1995)。地震発生の数時間以内に予め手配されていた建物検査員が、地震後の重要な対応機能を収容する建物を引き続き占有していても安全かどうかを評価するのに役立つ建物対応強震動測定値(building response strong-motion measurements)を利用することができる。

 

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