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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
日本の地震防災対策について
 

4.中央防災会議大都市震災対策専門委員会提言及び南関東地域の活動要領・大綱の改訂
(1)中央防災会議大都市震災対策専門委員会提言
 1998年6月、中央防災会議大都市震災対策専門委員会から「大都市地域の震災対策のあり方について」と題する提言が行われた。

  この提言は、阪神・淡路大震災以降、国、地方公共団体等の関係機関において講じられた様々な施策を前提として、さらに各機関の連携を確保したより体系的な震災対策を構築することを目的としてとりまとめられたものでる。特に、都道府県の区域を越えて市街地が連たんしている大都市地域(南関東地域を含む首都圏、近畿圏及び中部圏の3大都市圏を念頭に置いている。)においては、大規模地震の被害が甚大、かつ、1つの地方公共団体の区域を越えた広域的なものになるため、例えば、負傷者の広域的な搬送活動にように、複数の機関が連携を図りながら対策を効果 的に講じることが極めて重要であるとの認識に立っている。

提言の要旨は、次の通りである。
-1- 3大都市圏における地震活動を、南関東地域直下においては切迫性があり、近畿、中部圏においては活発化していると評価している。そして、その評価の上に、大都市地域で大規模地震が発生した場合の被害の甚大性及び広域性を踏まえて、3大都市圏毎の広域的な震災対策の推進が緊急に必要である。
-2- 3大都市圏の予防対策、応急対策の備えに関して、それぞれの圏域を対象とする広域的な被害想定を実施するとともに、負傷者の搬送等の応急対策活動の分野毎に広域的・実践的なアクションプランを作成すべきである。
-3- 提言の趣旨や阪神・淡路大震災以降のこれまでの関係機関における取り組みを踏まえて、既存の南関東地域の活動要領及び大綱を速やかに改訂し、震災対策を推進すべきである。さらに、近畿、中部圏においても、活動要領あるいは大綱の策定を将来的な課題として、当面 は広域的な震災対策を充実・強化すべきである。

  政府としては、提言の趣旨に沿って、次に述べる南関東地域の活動要領・大綱の改訂等の震災対策の積極的な推進を図っている。

(2)南関東地域の活動要領・大綱の改訂
 南関東地域については、既に述べたとおり、防災基本計画を補完して震災対策の基本方針を定めた「活動要領」及び「大綱」が策定されている。しかしながら、阪神・淡路大震災の教訓とその後の新たな施策の展開や中央防災会議大都市震災対策専門委員会の提言で指摘された関係機関の実践的な連携の一層の推進の必要性を踏まえ、本年6月、中央防災会議において、その内容の大幅な改訂が行われている。

改訂の要点は、
-1- 予防対策、応急対策の分野毎に、体系的・網羅的に対策を整理するとともに、政府の初動対応、医療活動等について、内容を大幅に充実したこと、
-2- 密集市街地、地下街など地域特性に応じた対策や、行政・経済機能の被災対策、帰宅困難者対策など、南関東地域特有の課題に対する対策について新規に記載したこと、
-3- 圏域を対象とした広域的な被害想定の実施、応急対策における実践的なアクションプランの作成など、関係機関の連携により積極的に推進すべき課題について重点的に記述したこと、
等に整理されるが、各省庁、関係地方公共団体等においては、今回改訂された大綱及び活動要領を踏まえた対策の具体化を推進することとしている。
 特に、応急対策に関する実践的なアクションプランについては、平常時から実践的な備えを十分に講じておくため、関係機関の連携強化が必要な応急対策の分野毎に関係省庁間で申し合わせを行うこととしている。そして、その第1弾として、大規模震災時における重傷者の効果 的な広域搬送活動に関し、「広域医療搬送活動に関するアクションプラン」を、本年8月に申し合わせたところである。

 以上、日本の震災対策について、国土庁の取り組みを中心に紹介したが、各方面 においては、これ以外にもそれぞれの所管に応じた各種の震災対策が実施・検討されている。
 関東大震災以降の我が国は、基本的に地震活動の静穏期に当たっており、このような状況の中で、第2次世界大戦後の我が国の高度成長も達成された。しかしながら、今後は、再び地震活動が活発な時期に入るとの説もあり、これまでの経験、新たな知見を活かして、今後一層、震災対策に取り組んでいくことが必要である。

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