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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
米国における地震被害軽減に関する公共政策
 

XI.州レベルの計画
 各州は州民の健康、安全、福祉に責任を負い、するべき事や手段の選択で大幅な柔軟性を持っている。建築の規則、土地利用計画、あるいは州内でのユーティリティや輸送システムの基準に対し、全米規模の規定はない。地方自治体は全般 に、土地利用計画、旧市街の再開発、建物の安全性、街路や幹線道路、水道供給、下水管理、ごみ処理、雨水の排水などに対処する責任がある。各州はしばしば、通 信、電気、ガス、パイプライン施設や鉄道に対しても責任を負う。学校などへの責任の一部は、州政府と地方自治体が共有することもある。これらの施設に対する地震政策は、州や州内の地域、都市によって異なっている。

・ カリフォルニア州の例
 カリフォルニア州では、州政府と地方自治体に広範な地震政策がある。これらの計画の事例は、ある特定の州の方針を示すもので、地震の規模や政治的な背景を考慮すれば、他州がこれに追随すべきものではない。

・ アルクィジット−プライオロ地震ゾーン法と地震被害地図作成法(the Alquist-Priolo Earthquake Zones Act and the Seismic Hazards Mapping Act)は同州の鉱山・地質管轄部門に対し、断層が原因の地割による土地被害、地滑りや液化現象に伴う土地被害、ゆれが大きかった地域、ダム決壊や津波による冠水などにより、土地が被害を受ける可能性が強い地域の地図を作成するよう要請している。州法は地方自治体に対し、各計画にこの情報を利用することを義務付けているうえ、新たな建設や土地の区画割りの許可書を発行する前に、開発業者に対し、これらの地域で特別 な地質工学面での調査を行い、各プロジェクトにおける被害軽減策を統一化するよう求めることも義務付けている。州の政策は、土地の利用計画や建物の規定に地震被害の情報を利用することである。
・ 公立学校に関するフィールド法(the Field Act)と、全ての救急病院に関するアルフレッド・E.・アルクィジット病院地震安全法(Alfred E. Alquist Hospital Seismic Safety Act)は、これらの用途の建築の基準の強化を義務付け、さらに、特別 な州レベルでの検査や査察による管理計画を義務付けている。州の政策は、これらの重要な建物の対震度をさらに強化することを求めている。

・ カリフォルニア州の建築基準法(Building Code law)は、各都市や郡に対し、上記の公立学校や病院を除く全ての新建設工事について、カリフォルニア建築基準(the California Building Code)(特に統一建築基準=the Uniform Building Code)を適用して実施することを義務付けている。各地方自治体は、許可を発行する前の計画チェックと建設の視察に責任を負う。全ての州が同じ政策を掲げている訳ではない。実際、50州のうちわずか33州が、建設規定を義務付けたり、規定適用を奨励しているにすぎない。この政策の目的は、建物に影響を及ぼすような大地震が発生しても、居住者は安全が保てるような耐震能力のある建物を建築できるような建設面 での規定を適用することである。高度な耐震基準を達成することは、建物所有者の特権となる。

・ カリフォルニア州が地方自治体に適用を義務付けているのは、地震被害に対処する土地利用計画である。但し、土地利用計画の作成での、州内の自治体のなんらかの権限を認めているのは、50州の内で半分にすぎない。わずか10州が、洪水・土壌侵食防止のほかに、自然災害による被害軽減策を提案しているにすぎない。カリフォルニア州は、これらの10州のひとつである。カリフォルニア法は全ての都市と郡に対し、土地利用、輸送ルート、住宅政策などを骨子とする一般 計画を適用して実施することを要請している。同法はまた、地域社会で地震被害などの災害を確認してそれに対応でき、また、危険への対応策も盛り込んだ安全性基準を義務付けている。これらの計画は、土地区分、旧市街の再開発、容認できる土地利用と利用頻度の決定、地域社会のインフラの立地や処理能力などの決定に影響を及ぼす。土地利用の管理は、危険な地域を回避することや、これらの地域での開発の適切な利用と適度の進展を認可する際の鍵となる。カリフォルニア州の政策は、各都市と郡に対し、計画を決定する際に地震の危険度を考慮するよう求める。この手法は、地方自治体の管轄となる。

 

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