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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
米国における地震被害軽減に関する公共政策
 

・ 連邦緊急事態管理庁(The Federal Emergency Management Agency : FEMA)
 FEMAのNEHRPを通じた貢献は、連邦政府が技術の供与、被害軽減の唱導、動機付けの提供などに力点を置いていることなどに示されている。FEMAの支援による活動の例は以下の通 りである。

・ 先導機関  FEMAはNEHRPの「先導機関」であり、協調した計画の実施のために他の3つの機関と協力し、進ちょく状況を議会に報告する責任がある。
・ 地域団体  FEMAは北東部諸州地震センター(NESEC)、中部諸州地震コンソーシアム(CUSEC)、西部諸州地震政策評議会(WSSPC)の3つの地域団体に出資するほか、経験を分かち合うためのフォーラムを開催したり、研修を実施したり、共通 の問題に取組んだりしている。FEMAは州レベルの地震計画に対し、州政府が支出する額と同規模の資金を提供している。
・ 被害の予測  FEMAは被害を予測するのに必要なソフトウェアHAZUSの開発に資金を提供した。この開発にはUSGSが作成した地震危険度の高い地域と低い地域を示した地図や、NSFの調査に基づいて開発された分析技術など、他の連邦機関の製品に依存するところが大きかった。HAZUSは州の行動を動機付け、連邦政府の戦略に影響を及ぼすための強力な道具となる。
・ 復旧ガイドライン  FEMAは既存建築物の復旧ガイドライン(the Guideline for Rehabilitation of Existing Buildings)の作成に資金を提供したほか、実際にある建物に対してその手法を試みている。ガイドラインを作成するにあたっては独自の作業が必要だったが、NSFが行った調査結果 が基準になった。FEMAは現在、このガイドラインを建築の基準を作成するうえで参考になる標準的なものに作り変える努力をしている。
・ 鋼鉄プロジェクト  FEMAは溶接鋼鉄枠の耐震ビルの成績に対する4年間の調査に1000万ドルを支出している。この形態のビルはノースリッジや阪神・淡路大震災で予想外の被害を受けた。FEMAの調査によって、新築ビルの建設、既存建築物の補強、被害を受けた建築物の補修などに必要なガイドラインが作成される予定で、調査は約1年後に完了する見通 しである。
・ 基準作成への支援  建築基準作成に向けたFEMAの支援の例としては、「1997年新築ビルに対する地震規制のためのNEHRP推奨規定とコメンタリー」(1997 NEHRP Recommended Provisions for Seismic Regulations for New Buildings and Commentary)が挙げられる。現在では、建築基準を作成するすべての機関が、基準の表記に本規定条項を使っている。
・ 知識の移転  FEMAは知識を有益な製品に統合し、州や地方自治体がそれぞれの責任について見解を表明するのを支援して、格差を埋める役割を果 たしている。FEMAは、地震危険軽減及び管理にとって有益な情報に重点を置いて、知識移転を行っている。FEMAによる知識移転は、NSF、USGSやその他の機関が実施した補充調査につながっている。

 最近発表されたFEMA報告は、技術者が既存建築物を特定し、補強するのに必要な多くの手段を提供している。その手段には以下のものが含まれている。

〇 潜在的地震危機のための建築物の高速視覚検査
〇 既存建築物の震災復旧にかかる典型的コスト
〇 既存建築物の震災査定に関するHEHRPハンドブック。
〇 建築物の震災復旧にかかる利益・費用モデル。
〇 既存建築物の震災復旧にかかるHEHRPガイドライン

 
・ 全米規格・技術協会(NIST)
 NISTは、建築基準や、建物やライフラインの標準や慣行などを改善するために、問題に的を絞った調査や開発を実施している。NISTは構造面 の管理、ライフライン、地球技術的な地震工学や設計の改善のほか、新築や既存の建物に対する技術の強化などに焦点を当てている。NISTはまた、「建設分野の地震安全の省庁間委員会」(Interagency Committee on Seismic Safety in Construction=ICSSC)の事務局でもある。ICSSCは建物に関連した業務を行っている33の連邦機関の代表者で構成された連邦委員会。ICSSCは最近、これらの機関にガイダンスを提供するため、「連邦政府が保有またはリースする既存の建物の震災に対する安全性の基準」(Standards of Seismic Safety for Existing Federally Owned or Leased Buildings)に関する報告を発表した。NISTは技術の移転も行っている。
 

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